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コラム
6.102022
処遇改善加算の計算や支給方法と加算要件を解説
処遇改善加算を取得し職員の賃金アップにつなげ、スタッフの定着率を上げたいとお考えの事業主様も多いのではないでしょうか?いざ手続きに取り組んではみたものの、これらのことでお困りではありませんか?
- 必要な要件を満たしているかわからない
- 取得できる加算率や計算方法は?
- 分配できる対象者や支給の方法は?
- 導入後は何をする?
- 次年度の実績報告 など
一見複雑に感じるかもしれませんが、処遇改善加算を導入することにより、職員の給与改善・スキルアップ・職場環境改善が期待できます。積極的な取得を目指しましょう。
目次
処遇改善加算とは
処遇改善加算とは、キャリアパス(キャリアアップの仕組みを作る)を作成し、職場環境の改善を行った事業者に対して、職員の賃金という形で福祉の現場職員の給与を上げることを目的に支給される制度です。
処遇改善加算の制度を通して、職員の給与アップやスキルアップ・職場環境改善による働きやすさにつながり、やりがいのある職場として職員の定着を促す効果も期待されます。
対象となる職種
- ホームヘルパー(サービス提供責任者含む)
- 生活支援員
- 職業指導員
- 就労支援員
- 目標工賃達成指導員
- 訪問支援員
- 地域移行支援員
- 世話人
- 介護職員
- 児童指導員
- 指導員
- 保育士 など
このように直接利用者の支援をしている職員に限られます。よって法人代表者、管理者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者は対象外です。(上記職種を兼務する場合にあって、常勤換算上勤務時間の算入が認められる場合を除く)
また、処遇改善加算は事業所(会社)の収入となるものではありません。必ず、職員に分配することが重要です。また、その際には、加算給付金に1円でもプラスして支払う必要があります。
処遇改善加算の計算方法・加算率
加算見込み額の計算式は、つぎのようになります。
各事業所の月の売上(基本報酬+加算(減算)額、処遇改善加算分を除く)×サービス別の加算率=加算見込み額
サービス別加算率は、事業所サービスごとに異なります。たとえば同じ加算Ⅰを取得しても、事業所のサービス内容によって加算率は異なります。
サービス別加算率
サービス区分 | 加算率Ⅰ | 加算率Ⅱ |
生活介護 | 4.4% | 3.2% |
就労継続支援A型 | 5.7% | 4.1% |
就労継続支援B型 | 5.4% | 4.0% |
共同生活援助 (グループホーム・包括型) |
8.6% | 6.3% |
放課後デイサービス | 8.4% | 6.1% |
児童発達支援 | 8.1% | 5.9% |
ここではサービス別加算率ⅠとⅡのみ掲載となります。
就労定着支援・自立生活援助、相談支援は処遇改善加算対象外となります。
参考:障害者総合支援法 事業者ハンドブック(報酬編2021年度版)
上の加算率より当てはまてみると、下のようになります。
事業の売上が月200万円だと仮定・加算Ⅰ取得
サービス区分 | 売上 | 加算率Ⅰ | 加算額 |
就労継続支援B型 |
200万円× |
5.4% | =108,000円 |
放課後デイサービス | 8.4% | =168,000円 |
処遇改善加算を取得するための要件
次にこの加算を満たす要件を見てみましょう。
キャリアパス要件
①職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
②資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
③経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
就業規則等の明確な書面で整備しすべての職員へ周知しなければなりません。
職場環境要件
賃金改善を除く職場環境の改善となる取組を実施すること
複数の取り組みの中から1つ以上取組んでいること
- 資質の向上・・・研修の実施や研修受講支援
- キャリアアップに向けた取組・・・キャリア面談や定期的な相談機械の確保
- 両立支援・・・子育てや介護等と仕事の両立を目指した制度の充実、整備
- 心身の健康管理・・・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成、整備
- ICT活用など生産性向上の取組・・・タブレット等のICT活用や見守り機器等の導入
- やりがい・働きがいの向上・・・職場内コミュニケーションの円滑化、モチベーション向上につながる地域交流
など、複数項目の中から1つ以上実施し職員に周知しなければなりません。
上の要件の取組状況により、該当する加算が異なるため、加算率も変わります。
処遇改善加算(Ⅰ)の算定要件
→キャリアパス要件①~③を満たし、かつ職場環境等要件を満たす
処遇改善加算(Ⅱ)の算定要件
→キャリアパス要件①、②を満たし、かつ職場環境等要件を満たす
例)共同生活援助(グループホーム)の場合、
処遇改善加算(Ⅰ)の算定要件→加算率Ⅰ→8.6%
処遇改善加算(Ⅱ)の算定要件→加算率Ⅱ→6.3%
となります。
特定処遇改善加算との違い
特定処遇改善加算とは、2019年10月に新たに設けられた制度です。処遇改善加算に上乗せされる制度となり、経験・技能のある職員を対象としています。経験・技能のある職員とは、目安として勤続10年以上とされていますが、あくまで目安となります。
特定処遇改善加算の要件
- 処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得していること
- 処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
- 処遇改善加算の取組について、ホームページへの掲載等、見える化を行っていること
処遇改善加算取得の流れ
主な必要書類
- 処遇改善加算計画書
- 就業規則
- 賃金規程
- 労働保険関係成立届等、労働保険に加入していることが分かる書類
- 誓約書
新規届出
年度途中からの届出も可能(加算を取得しようとする月の前々月末日までが多い)
更新
毎年更新の手続きが必要(年度ごとの届出は毎年2月末日までが多い)
処遇改善加算実績報告
毎年7月末までに、前年度の「処遇改善実績報告書」を作成し行政に届出を行う
受給期間
年度ごと(毎年4月1日から3月31日まで)
まとめ
処遇改善加算は、現場で働く職員の給与に大きくかかわる制度です。直接事業者(会社)の収入になる訳ではありませんが、加算取得により職員の給与に反映させることができます。職員の定着率向上のためにも積極的な導入を目指しましょう。
当事務所では、処遇改善加算取得のサポートを行っております。障害福祉サービス施設の新規指定申請時の他、年度途中の算定についてもご相談ください。
当事務所の手続きのおおまかな流れ
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届出を経て、無事を取得できましたら算定開始となります。
処遇改善加算、ベースアップ等支援加算、導入後の書類作成、管理や次年度実績報告も別途承りますのでお気軽にお問い合わせください。