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コラム
5.32025
若手人材確保の鍵!建設キャリアアップシステム(CCUS)の真価とは?

建設業界では深刻な人手不足が続いています。特に若年層の入職が伸び悩む中、「建設キャリアアップシステム(CCUS)」がその打開策として注目を集めています。しかし「CCUSって何?」「うちのような中小企業に関係あるの?」といった声も多く聞かれます。今回は、CCUSの構築背景やシステムの仕組み、建設業者としてどのように活用すればよいのかを、行政書士としての視点から丁寧に解説します。
目次
建設業界を取り巻く課題とは?
建設業界では、職人不足、特に若い世代の入職者が少ないことが大きな課題です。
現場で働く「技能者」と呼ばれる方々の高齢化も進んでおり、10年先、20年先を見据えたとき、業界全体としての持続可能性が問われています。加えて、技能や経験がきちんと評価されず、現場を離れてしまう若手技能者も少なくありません。
実際、製造業に比べて建設業では賃金のピークが早く、45歳前後で上がり止まり、50代以降は下がっていく傾向があります。これは、現場管理能力や後進の指導といった熟練者の技能が、給与や待遇に反映されにくいという構造的な問題が背景にあります。
さらに、現場ごとに雇用形態や所属が異なるため、技能の蓄積や評価が「見える化」されず、スキルアップが処遇に直結しづらいというジレンマも。こうした中で、業界の魅力を高め、若手人材を引きつけるには、キャリアが明確に描ける仕組みが必要とされていたのです。
なぜCCUSが必要なのか?
CCUS(Construction Career Up System)は、こうした課題を解決するために国が中心となって構築された制度です。技能者一人ひとりの就業履歴、保有資格、講習受講歴などを電子的に記録し、それに基づいて正当な評価を受けられるようにすることを目的としています。
これまでの建設業界では、技能者の能力や経験が口頭ベースで伝わっていたため、現場が変わるたびにその技能が正しく評価されなかったという現実がありました。
CCUSでは、IDカードを通じて現場の入退場管理を行い、どの現場で、どのような役割を果たしていたかが「見える化」されます。これにより、技能者は自身の成長が正しく記録され、処遇にもつながる仕組みとなるのです。
さらに、CCUSにより業界全体としての技能基準の標準化が進むことで、事業者間の比較も容易になり、優秀な技能者を多く抱える企業の信頼性も高まります。これは採用や元請けからの受注にも良い影響を与えるでしょう。
CCUSの構築の背景と経緯
CCUSは2015年、建設産業活性化会議において、その必要性が初めて正式に打ち出されました。技能労働者の経験・実績を業界共通のフォーマットで蓄積し、評価に活かすというビジョンに基づき、官民連携のもとコンソーシアムが設立され、議論がスタート。
2016年には「建設キャリアアップシステム基本計画書」が策定され、運用方針や要件の詳細設計に入りました。そして2019年からは全国で本格運用が始まり、現在では建設業振興基金が運営を担っています。
今や国土交通省の後押しのもと、元請・下請を問わず、業界全体での導入が進められています。特に公共工事ではCCUSの活用状況が評価の一要素とされるケースもあり、登録が“当たり前”の時代に移行しつつあります。
CCUSの基本的な使い方と登録方法
CCUSの利用には、まず事業者と技能者の登録が必要です。公式サイトから申請を行い、技能者にはID付きICカードが交付されます。以下が基本的な運用ステップです。
- 【登録申請】:事業者・技能者ともにウェブ上で登録を実施
- 【カード発行】:技能者には個別IDカードが届き、現場で使用
- 【現場・施工体制の登録】:元請がプロジェクト情報を登録し、関連する事業者と紐づけ
- 【就業履歴の記録】:ICカードを使い、作業内容や職種、立場(職長など)を記録
- 【資格・講習歴の登録】:保有資格や受講した研修内容を入力
この情報はすべてクラウド上で蓄積され、関係者が確認できる仕組みとなっています。
CCUSの導入メリットとは?
【技能者にとって】
- スキルや経験を客観的に証明でき、他現場でも正当な評価が受けやすくなる
- キャリアパスが明確になり、目標設定やスキルアップの意欲が高まる
- 処遇改善や昇給の根拠となるデータが蓄積される
【事業者にとって】
- 現場管理の効率化(入退場の記録、労務管理の自動化)
- 有資格者の証明が容易になり、公共工事や大手元請との取引で優位に
- 技能者の能力を可視化でき、人材配置の最適化が図れる
また、CCUSの活用は、今後「経営事項審査(経審)」における加点対象となる可能性があり、事業拡大を目指す企業にとっては重要な要素です。
建設業者が今すぐやるべきこと
まずは自社の技能者が適切にCCUSへ登録されているか確認しましょう。また、日々の就業履歴や講習記録を確実に反映させるための社内体制を整えることも大切です。
特に元請業者は、下請けにもCCUSの導入を働きかけ、プロジェクト全体として統一された管理体制を築くことが求められます。これは、元請としての評価にもつながる大きなポイントです。
中小規模の建設会社にとっては「手間がかかる」「ITに不慣れ」と感じる部分もあるかもしれません。しかし、登録支援や操作サポートを行っている機関や専門家も多く存在しています。
行政書士としての視点から
建設業許可、経審、各種補助金申請において、今後CCUSは確実に影響力を持つ要素になります。だからこそ、法令遵守や制度運用に不安を抱える中小事業者こそ、早めの準備と対応が大切です。
当事務所はCCUS登録行政書士として、CCUSの登録支援や、現場運用の仕組みづくり、許可申請との連携などもお手伝いできます。「どこから始めていいかわからない」という方も、まずはご相談ください。
【まとめ】
CCUSは単なる新しいシステムではなく、建設業界の働き方改革、そして健全な未来づくりを支える制度インフラです。
「人を育て、正しく評価し、未来へつなぐ」
この理念に共感し、事業者自身が動き出すことが、業界全体の信頼性向上にもつながります。
栃木県宇都宮市で地域密着型の行政書士として、私も現場の皆さまと一緒に、未来の建設業を築いていけたらと思っています。
ご不明な点やサポートのご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
▼短く分かりやすく知りたい方はこちらの記事もおすすめ → 【入門編】建設現場が変わる!はじめての建設キャリアアップシステム(CCUS)入門(約1600字)