コラム

宇都宮の相続手続き解説シリーズ 第7回 | 遺言書があるか確認!相続手続きをスムーズにするために

宇都宮の相続手続き解説シリーズ 第7回

遺言書があるか確認!相続手続きをスムーズにするために

栃木県宇都宮市のKanade(かなで)行政書士事務所です。
このシリーズでは、相続に関する基本的な手続きを、一つずつ丁寧に解説しています。

第7回は、「遺言書があるかどうかの確認方法」と「遺言書がある場合・ない場合の相続手続きの違い」についてご紹介します。

「亡くなった家族に遺言書はあるの?」「見つかったらどうする?」そんな疑問に、丁寧に実務に即してお答えしていきます。

遺言書があるか確認する理由

相続手続きにおいて、最初に必ず確認すべきことの一つが、「遺言書が存在するかどうか」です。なぜなら、遺言書があれば、基本的にその内容に従って相続手続きを進める。遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行う。という、手続きの流れ自体が大きく変わるためです。


遺言書がある場合のメリット

・誰がどの財産を取得するかが明確になる
・相続人同士の話し合い(遺産分割協議)が不要になることがある
・トラブル防止に役立つ
✅ 特に「子どもがいない夫婦」や「再婚家庭」など、相続人関係が複雑な場合は、遺言書の存在が非常に重要です。

🔗 遺言書とは?相続財産(遺産)について、本人(遺言者)の希望(遺言)を書いた書面です。
👉遺言書とは?栃木県宇都宮市の女性行政書士が遺言書の書き方や基本を解説!


遺言書の種類と特徴

1.自筆証書遺言

・本人が自筆で書いた遺言書
・家庭裁判所での「検認手続き」が必要
※2020年7月から、法務局で保管する制度(自筆証書遺言保管制度)もスタートしています。(保管されている場合は検認不要)


2.公正証書遺言

・公証役場で、公証人が作成する遺言書
・原本が公証役場に保管されるため、紛失リスクがない
・検認手続きが不要で、そのまま相続手続きに使用できる
✅ 公正証書遺言がある場合は、非常にスムーズに相続手続きが進みます!


3.秘密証書遺言

・内容を秘密にして、公証役場で「存在」だけ証明する遺言
・実務では利用が少ないため、ここでは詳しい解説は省略します。


遺言書を確認する手順

ステップ1|家族・親族に確認する

生前、遺言書の話が出ていたかどうか、また保管場所の心当たりがないか、家族や親族に確認します。


ステップ2|自宅・金庫・貸金庫を確認する

特に多いのが、
・自宅の金庫
・タンスや書類棚
・銀行の貸金庫
などに遺言書が保管されているケースです。


ステップ3|公証役場に「遺言検索」依頼をする

公正証書遺言の場合は、全国の公証役場で「遺言検索システム」を利用して存在確認が可能です。
✅ 被相続人の氏名・生年月日・死亡日がわかれば、検索できます。


ステップ4|法務局で自筆証書遺言の保管確認

もし法務局に自筆証書遺言が預けられていた場合、「遺言書保管事実証明書」を取得することで、存在確認が可能です。


遺言書が見つかったらどうする?

 自筆証書遺言の場合

・家庭裁判所で「検認手続き」*が必要
・遺言の有効性を確認し、その後相続手続きに進む

*【検認手続とは?】
「検認手続き」とは、遺言書の内容を改ざんや紛失から守るために、家庭裁判所で公式に確認する手続きです。
ただし、検認手続き=遺言の有効性を判断するものではないため注意が必要です。


 公正証書遺言の場合

・検認手続きは不要
・そのまま相続手続きに使用できる

遺言書が見つかった場合の対応

種類 必要な手続き 特徴
自筆証書遺言 家庭裁判所で「検認手続き」が必要 遺言の存在・内容を確認し、相続手続きへ進む
公正証書遺言 検認手続きは不要 すぐに相続手続きに進める

🔗 遺産分割協議書の作成が不要なケースも
👉 第3回|遺産分割協議書とは?必要な内容と作成のポイント


遺言書がない場合は?

・相続人全員で遺産分割協議を行う
・協議結果を書面(遺産分割協議書)にまとめる必要がある

🔗 相続人調査はこちらから
👉 第1回|相続人の調べ方|戸籍収集の基本と注意点


よくあるトラブル事例と注意点|遺言書をめぐる相続手続き

ケース1|遺言書の存在に気づかず、相続手続きが進んでしまった

事例
お亡くなりになった方が遺言書を書いていたことを知らず、気が付かないまま法定相続分に基づいて遺産分割協議や財産の名義変更が進められた。その後、遺品整理中に遺言書が発見され、すべての手続きをやり直すことに。相続人間での不信感や対立も生じてしまった。

ポイント
・遺言書がある場合、原則として遺言の内容が優先される
・一度完了した手続きを修正するのは、非常に手間と負担がかかる。
相続手続きに着手する前に、必ず遺言書の有無を確認しましょう。
 特に、自宅・金庫・貸金庫・公証役場(公正証書遺言検索)などの確認を忘れずに。


ケース2|検認前に遺言書を開封してしまった

事例
相続人の一人が、自宅で発見した封印された自筆証書遺言を、うっかりその場で開封してしまった。その結果、家庭裁判所での検認手続きの際に指摘され、事情説明書の提出に余分に時間がかかってしまった。このような場合は、罰則の対象となる場合もあります。

ポイント
・封印された自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認の場で開封しなければならない(民法1004条)。
・個人で勝手に開封すると、5万円以下の過料(行政罰)に処される可能性がある。
封印された遺言書を見つけた場合は、絶対に開封せず、そのまま家庭裁判所へ提出しましょう。


ケース3|遺言書の解釈をめぐって相続人間で争いに

事例
発見された自筆証書遺言書に、「長男に○○を相続させる」とだけ記載されていたが、その○○が「不動産全体を指すのか、一部を指すのか」で相続人間で解釈が分かれ、争いが発生してしまった。

ポイント
・特に自筆証書遺言書は内容が曖昧になりやすいため、記載されている内容が特定できない場合、相続人間で解釈が異なりトラブルに発展しやすい。
・財産の範囲、具体的な名称や位置が明確でないと、争いの種となる。
遺言書を作成する際は、財産の特定を明確に記載することが重要ですが、遺言書の書き方に不安な点がある場合は、専門家への相談をおすすめします。

🔗トラブルになりにくい遺言書って?
👉宇都宮で公正証書遺言書の作成を考えたら|手続きのポイントとサポート内容を解説


遺言書の取り扱いには慎重さが必要です

相続手続きでは、遺言書があるかどうか、ある場合はどのように取り扱うかが非常に重要なポイントです。
・手続き前に必ず遺言書を確認すること
・自筆証書遺言は開封せずに家庭裁判所へ提出すること
・曖昧な内容の場合は、早めに専門家に相談すること
こうした基本を押さえることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな相続手続きにつなげることができます。


Kanade行政書士事務所のサポート内容

相続手続きの基本サポート

・相続人調査(戸籍収集・特定)
・財産目録(遺産目録)の作成
・相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成
・遺産分割協議書の内容・案分作成

金融機関・証券会社などへの手続きサポート

・証券会社向けの相続手続き書類作成
・必要書類・名義変更等サポート

安心できるサポート体制

・初回相談無料
・宇都宮市を中心に、柔軟かつスピーディーな対応
・必要に応じて、司法書士・税理士との連携によるワンストップ支援も可能です。

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まとめ|遺言書確認から相続手続きは始まります

相続手続きをスムーズに進めるためには、まず「遺言書があるか」を必ず確認することが大切です。遺言書の有無で、その後の流れが大きく変わります。

Kanade(かなで)行政書士事務所では、最初の「何を確認すればいいの?」という段階から、わかりやすく丁寧にサポートしています。

どうぞお気軽にお問い合わせください。


次回|第8回はこちら!

第8回|遺言執行とは?相続手続きで重要な役割をわかりやすく解説

👉 相続手続きが初めての方は、10回シリーズでわかりやすく解説した
[相続手続き解説シリーズまとめページ]をご覧ください。

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