コラム
2.152025
宇都宮の相続手続き解説シリーズ 第5回 |証券口座・株式の相続手続きとは?流れと注意点を解説

宇都宮の相続手続き解説シリーズ 第5回
証券口座・株式の相続手続きとは?流れと注意点を解説
栃木県宇都宮市のKanade(かなで)行政書士事務所です。
このシリーズでは、相続に関する基本的な手続きを、一つずつ丁寧に解説しています。
第5回は、「証券口座・株式の相続手続き」について。
「銀行口座とどう違うの?」「名義変更ってどうするの?」「注意点は?」そんな疑問に、実務に基づいてわかりやすくご紹介します。
目次
証券口座・株式の相続はどう違う?
相続手続きというと、まず銀行口座を思い浮かべる方が多いですが、実は証券口座(株式・投資信託など)にも別途相続手続きが必要です。
しかも、銀行とは違い「単なる解約」ではなく、名義変更(移管)という手続きが中心になる点が特徴です。
銀行口座と証券口座の違い
銀行口座 | 証券口座 | |
---|---|---|
手続き内容 | 解約・払戻し | 名義変更・移管 |
必要書類 | 戸籍・協議書等 | 同様に戸籍・協議書等+証券特有の書類 |
凍結のタイミング | 死亡連絡後 | 死亡連絡後、(売買停止処理も) |
✅ 銀行口座の相続手続きについては、こちらを参考にしてください。
🔗【関連】第4回|銀行口座の相続手続きとは?必要証類と流れ
証券口座の相続手続き|全体の流れ
証券口座の資産(株式や投資信託など)は、被相続人が亡くなった時点では売却や換金ができない状態になります。まずは、資産を相続人の名義に移管(名義変更)する手続きが必要です。
流れとしては次のステップを踏みます。
ステップ1|証券会社へ死亡の連絡
まず、口座を開設している証券会社(野村證券、大和証券、SMBC日興証券、SBI証券、楽天証券など)に、被相続人が亡くなった旨を連絡します。
この連絡により、証券口座は売買停止(ロック)状態になり、株式の売買や投資信託の取引ができなくなります。
ステップ2|相続手続き書類の取り寄せと確認
証券会社から「相続手続き案内」や「相続手続きキット」が送付されます。指示に従って必要書類を準備していきます。
主な必要書類は次の通りです。
・被相続人の死亡が記載された戸籍謄本または法定相続情報一覧図
・相続人全員の戸籍謄本または法定相続情報一覧図
・相続人全員の印鑑証明書
・遺産分割協議書(または遺言書)
・証券会社所定の相続手続依頼書
・相続人の本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)
✅ 遺産分割協議書には、「株式や投資信託を誰が引き継ぐか」を明記しておく必要があります。
🔗 【関連】第3回|遺産分割協議書とは?必要な内容と作成のポイント
名義変更と売却手続きの選択肢
証券口座の相続手続きでは、「名義変更」または「売却」、または両方の手続きを選択することになります。
・名義変更(移管)
・故人の口座から相続人の証券口座へ、株式や投資信託をそのまま移管します。
・相続人が引き続き、資産を保有し、運用や売却を自由に行える状態になります。
▶ 注意点
相続人が証券口座を持っていない場合は、新たに証券口座を開設する必要があります。
・売却・換金
・資産を相続人名義に移管した後、相続人自身が売却して現金化します。
・現金化した後、遺産分割協議に沿って分配します。
▶ 分割方法の一例
・代表相続人が一括で受け取り、売却後に現金を分ける
・銘柄ごとに分けて、それぞれ相続人が現物を受け取る
なお、売却には相続人全員の同意が必要となるケースが多いため、遺産分割協議書の内容や相続人間での合意が重要です。
上場株式と非上場株式の違い
-
上場株式の場合
通常、証券会社が名義変更や売却手続きを一括で行ってくれます。 -
非上場株式の場合
発行会社ごとに手続きが異なり、直接発行会社に確認する必要があります。会社によっては、信託銀行などに管理を任せている場合もあります。その場合は、信託銀行とのやり取りとなります。非上場株式は手続きに時間がかかる場合もあるため、早めの対応が大切です。
証券口座の相続で注意しておきたいポイント
-
売却益が発生した場合の確定申告
売却によって利益が出た場合は、確定申告が必要になるケースがあります。特定口座(源泉徴収あり)であれば原則不要ですが、状況に応じて確認しましょう。 -
資産分割は慎重に
一度資産を分割してしまうと、後からやり直すことは難しいため、銘柄ごとに分ける場合も慎重に協議・決定することが重要です。 -
手続きには時間がかかることも
証券会社によっては、書類提出から完了までに数週間~1か月程度かかることもあります。
証券口座の相続も早めの準備と相談を
証券口座の相続手続きでは、まず名義変更(資産の移管)を行い、その後、相続人自身の判断で売却・換金または現物のまま保有を選択する流れになります。どちらの方法を選ぶかは、相続人同士の協議内容や、遺産分割協議書の取り決めによって決まります。
スムーズに進めるためには、早めに証券会社へ連絡し、必要書類を整え、不明点があれば専門家に相談することも大切です。
栃木県内でよくある実例
栃木県では地銀系証券・大手証券どちらも多い印象です。最近では、ネット銀行を利用されている方も増えてきました。
宇都宮エリアでは、
・野村證券 宇都宮支店
・大和証券 宇都宮支店
・SMBC日興証券 宇都宮支店
・地元地銀系列の証券子会社
など、複数の証券会社を利用されているばあは、銀行と同様にそれぞれの証券会社・銀行での手続きが必要となります。証券会社・銀行により「戸籍一式の必要範囲」や「協議書の細かい指示内容」が若干異なるため、事前に確認して準備することが非常に大切です。
よくあるトラブル事例と注意点|証券口座の相続手続き
ケース1|株式が複数口座に分散していた
事例
被相続人が複数の証券会社に口座を持っていたため、各証券会社ごとに個別で相続手続きを行わなければならず、必要書類の準備ややり取りに大幅な手間と時間がかかってしまった。
ポイント
・証券会社ごとに求められる書類や手続きの流れが異なるため、統一的に進めることが難しい。
・書類の有効期限(例:印鑑証明書3か月以内など)にも注意が必要。
✅ 早めに被相続人の証券口座をリストアップし、必要なら各証券会社に同時並行で手続きを進められるよう相談しましょう。
同時並行の際には、法定相続情報一覧図(原本)を法務局にて、複数枚取得しておくと進行がスムーズです。ただし、印鑑証明書等も原本提出が多いため複数枚必要になります。
ケース2|名義変更ではなく売却希望だったが協議が難航
事例
相続人の一部が「すぐに売却して現金化したい」と希望していたが、ほかの相続人が「株式をそのまま保有したい」と主張。意見がまとまらず、遺産分割協議が長引いてしまった。
ポイント
・株式は「現物資産」であるため、処分方法(売却か保有か)について意見が分かれやすい。
・取引停止期間が長引くと、株価変動リスクも生じる。
✅ 遺産分割協議書の中に、「株式を売却して現金化し、分配する」などの方針をあらかじめ明記しておくと、手続きがスムーズに進みます。
※遺言書がある場合でも、「株式の取扱い」まで具体的に指示されているかは必ず確認しましょう。
ケース3|「少額だから」と放置してしまった
事例
資産額が小さいために相続手続きを先送りしていたところ、数年後に証券会社の規定変更や口座管理体制の見直しがあり、手続きが煩雑になったり、休眠口座扱いとなってしまった。
ポイント
・休眠口座になると、引き出しや名義変更に追加手続きが必要となる場合がある。
・口座維持手数料が発生し続ける場合もあり、かえって負担になることも。
✅ たとえ少額でも、「相続手続き対象の資産」としてきちんと扱い、できるだけ早めに手続きを済ませることが大切です。
※近年は、口座の未利用期間が一定期間を超えると、自動的に管理口座扱いとなる証券会社も増えています。
トラブルを防ぐために
証券口座の相続手続きは、「遺産分割の合意形成」と「証券会社との正確なやり取り」がスムーズさのカギになります。
・早めに証券口座のリストアップを行うこと
・協議書に具体的な資産の扱いを明記しておくこと
・少額資産でも放置せずに早期対応すること
これらを意識するだけでも、手続きの負担や将来のトラブルリスクを大きく減らすことができます。
Kanade行政書士事務所のサポート内容
相続手続きの基本サポート
・相続人調査(戸籍収集・特定)
・財産目録(遺産目録)の作成
・相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成
・遺産分割協議書の内容・案分作成
金融機関・証券会社などへの手続きサポート
・証券会社向けの相続手続き書類作成
・必要書類・名義変更等サポート
安心できるサポート体制
・初回相談無料
・宇都宮市を中心に、柔軟かつスピーディーな対応
・必要に応じて、司法書士・税理士との連携によるワンストップ支援も可能です。
まとめ|証券口座も「早めに把握と準備」がカギ
証券口座・株式の相続は、銀行口座よりも少し手続きが煩雑ですが、早めに把握し、丁寧に準備を整えればスムーズに進められます。
Kanade(かなで)行政書士事務所では、相続に関する各種手続きを一貫してサポートし、「安心して相続を進めるための伴走者」となることを目指しています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
次回|第6回はこちら!
👉 相続手続きが初めての方は、10回シリーズでわかりやすく解説した
[相続手続き解説シリーズまとめページ]をご覧ください。