コラム
5.192025
遺言書でできること・できないこと|生命保険・登記・相続税との関係も解説

目次
遺言書でできること・できないこと|生命保険・登記・相続税との関係も解説
「遺言書って何でも書けばその通りになるの?」
「生命保険や税金も遺言で指示できますか?」
遺言書は大きな効力を持ちますが、全てを自由に決められるわけではありません。
たとえば、生命保険は遺言書ではなく契約で決まる部分もありますし、登記や相続税は別途手続きが必要です。
この記事では、遺言書で「できること・できないこと」を行政書士の視点からわかりやすく解説し、安心して準備を進めるためのポイントを整理します。
遺言書でできること
遺言書は民法に基づき、次のようなことを法的効力をもって行うことができます。
財産の分配
遺言書の最大の目的は、財産をどう分けるかを決めることです。
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誰に何を渡すか
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どの割合で分配するか
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誰に遺贈するか
法定相続分と異なる分配も可能です。
遺言執行者の指定
遺言書の内容を実現するため、執行者を指定できます。
例:
「長男〇〇を遺言執行者とする」
「行政書士××を遺言執行者とする」
認知・廃除・相続人の排除
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非嫡出子を認知する
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不当な行為を行った相続人の廃除
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廃除した相続人の復権
これらも遺言で行うことができます。
祭祀承継者の指定
お墓や仏壇を誰が守るかを指定できます。
遺言書でできないこと
一方、遺言書には限界もあります。
以下は遺言書だけでは完結しません。
生命保険の受取人変更
生命保険の受取人は、保険契約で指定されます。
遺言書では変更できません。
例:
「死亡保険金を長男から長女に変更する」と書いても、保険会社に変更届を提出しない限り効力はありません。
不動産の登記変更
遺言で不動産の相続人を指定しても、登記の名義変更は別途手続きが必要です。
遺言書だけで完了するわけではないため、相続登記を忘れないようにしましょう。
相続税の免除・猶予
「相続税を免除する」と書いても、税務署のルールが優先されます。
税額や支払い方法は法律で定められており、遺言書で変更はできません。
よくある誤解
「遺言書に書けばすべてその通りになる」
→ 一部は手続きや法律に基づき、書いても効力がない場合があります。
「生命保険も遺言で変えられる」
→ 保険契約での手続きが必要です。
「相続税を免除できる」
→ 税金は国の制度なので無効です。
実例|遺言書の効力が及ばなかったケース
事例① 生命保険の受取人変更が無効
父が「遺言で妻に生命保険金を渡す」と記載。しかし保険契約の変更届を出さず、前の受取人(長男)がそのまま受け取ることになった。
事例② 不動産の名義が変更されない
「自宅を長女に相続させる」と書いたが、登記手続きを行わず名義が故人のまま10年経過。売却もできず困った。
公正証書遺言を活用する理由
特に「できること・できないこと」の線引きが重要な場合、公正証書遺言がおすすめです。
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内容が明確に整理される
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公証人が不備を確認
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証人がいるため後日の争いを減らせる
Kanade行政書士事務所では公証役場との調整もサポートします。
Q&A|よくある質問
Q. 遺言で銀行口座をそのまま使えるようにできますか?
A. いいえ、口座は死亡後に凍結されます。相続手続きが必要です。
Q. 生命保険は遺産分割に含まれますか?
A. 原則として含まれず、受取人固有の財産になります。
Q. 遺言書に書けば相続税が免除されますか?
A. いいえ、相続税は法律で定められており、遺言書では変更できません。
まとめ|遺言書でできること・できないことを整理しよう
遺言書は大きな効力を持つ一方、万能ではありません。
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生命保険は契約で決まる
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不動産登記や税金は別手続きが必要
こうしたポイントを押さえ、正しい知識と準備を進めることが大切です。
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Kanade行政書士事務所では、遺言書作成から公正証書化、手続きサポートまで一貫してお手伝いしています。
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