コラム

遺言書でできること・できないこと|生命保険・登記・相続税との関係も解説

遺言書でできること・できないこと|生命保険・登記・相続税との関係も解説

「遺言書って何でも書けばその通りになるの?」
「生命保険や税金も遺言で指示できますか?」
遺言書は大きな効力を持ちますが、全てを自由に決められるわけではありません。

たとえば、生命保険は遺言書ではなく契約で決まる部分もありますし、登記や相続税は別途手続きが必要です。

この記事では、遺言書で「できること・できないこと」を行政書士の視点からわかりやすく解説し、安心して準備を進めるためのポイントを整理します。


遺言書でできること

遺言書は民法に基づき、次のようなことを法的効力をもって行うことができます。


財産の分配

遺言書の最大の目的は、財産をどう分けるかを決めることです。

  • 誰に何を渡すか

  • どの割合で分配するか

  • 誰に遺贈するか

法定相続分と異なる分配も可能です。


遺言執行者の指定

遺言書の内容を実現するため、執行者を指定できます。

例:
「長男〇〇を遺言執行者とする」
「行政書士××を遺言執行者とする」


認知・廃除・相続人の排除

  • 非嫡出子を認知する

  • 不当な行為を行った相続人の廃除

  • 廃除した相続人の復権

これらも遺言で行うことができます。


祭祀承継者の指定

お墓や仏壇を誰が守るかを指定できます。


遺言書でできないこと

一方、遺言書には限界もあります。
以下は遺言書だけでは完結しません。


生命保険の受取人変更

生命保険の受取人は、保険契約で指定されます。
遺言書では変更できません。

例:
「死亡保険金を長男から長女に変更する」と書いても、保険会社に変更届を提出しない限り効力はありません。


不動産の登記変更

遺言で不動産の相続人を指定しても、登記の名義変更は別途手続きが必要です。
遺言書だけで完了するわけではないため、相続登記を忘れないようにしましょう。


相続税の免除・猶予

「相続税を免除する」と書いても、税務署のルールが優先されます。
税額や支払い方法は法律で定められており、遺言書で変更はできません。


よくある誤解

「遺言書に書けばすべてその通りになる」
→ 一部は手続きや法律に基づき、書いても効力がない場合があります。

「生命保険も遺言で変えられる」
→ 保険契約での手続きが必要です。

「相続税を免除できる」
→ 税金は国の制度なので無効です。


実例|遺言書の効力が及ばなかったケース

事例① 生命保険の受取人変更が無効
父が「遺言で妻に生命保険金を渡す」と記載。しかし保険契約の変更届を出さず、前の受取人(長男)がそのまま受け取ることになった。

事例② 不動産の名義が変更されない
「自宅を長女に相続させる」と書いたが、登記手続きを行わず名義が故人のまま10年経過。売却もできず困った。


公正証書遺言を活用する理由

特に「できること・できないこと」の線引きが重要な場合、公正証書遺言がおすすめです。

  • 内容が明確に整理される

  • 公証人が不備を確認

  • 証人がいるため後日の争いを減らせる

Kanade行政書士事務所では公証役場との調整もサポートします。


Q&A|よくある質問

Q. 遺言で銀行口座をそのまま使えるようにできますか?
A. いいえ、口座は死亡後に凍結されます。相続手続きが必要です。


Q. 生命保険は遺産分割に含まれますか?
A. 原則として含まれず、受取人固有の財産になります。


Q. 遺言書に書けば相続税が免除されますか?
A. いいえ、相続税は法律で定められており、遺言書では変更できません。


まとめ|遺言書でできること・できないことを整理しよう

遺言書は大きな効力を持つ一方、万能ではありません。

  • 生命保険は契約で決まる

  • 不動産登記や税金は別手続きが必要

こうしたポイントを押さえ、正しい知識と準備を進めることが大切です。


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