コラム

申請者が亡くなった場合の対応|栃木県、宇都宮の建設業者が行う許可継承の手続き(個人事業主)

申請者が亡くなった場合の対応|栃木県、宇都宮の建設業者が行う許可継承の手続き(個人事業主)

建設業の個人事業主が急逝した場合、「許可はどうなるのか?」「家族は工事を続けられるのか?」という相談が増えています。2020年の建設業法改正により、個人事業主が亡くなった場合でも「許可の相続承継」が可能になり、“相続人が許可を継いで事業を続けられる仕組み” が整いました。

ただし、手続きには厳格な期限・要件があり、誤ると許可が失効してしまうため注意が必要です。以下では、栃木県の手引(2025年度版)に基づき、実務で迷いやすいポイントを整理します。


1. 個人事業主が亡くなった場合の「許可の扱い」

建設業者である個人事業主が亡くなった場合、相続人が“許可を承継する意思があるかどうか” によって取り扱いが分かれます。

■ 相続承継を申請した場合

・被相続人(お亡くなりになった方)の許可が継続しているものとみなされる(承継申請中も工事継続可)
・相続人が建設業を引き継ぐ形で申請ができる
・要件を満たす場合、相続人が正式に許可を承継
→ 建設業の空白期間を作らずに継続できるのが最大のメリット。

■ 相続承継を申請しなかった場合

・被相続人の死亡時点で許可は失効
・相続人が事業継続するには「新規許可」が必要
・この間は 500万円以上の工事を請負えない


2. 相続承継の手続き|“30日以内”が最大のポイント

相続が発生してから 30日以内に申請しなければならないという期限が最大の注意点です。

・期限を1日でも過ぎると相続承継は不可
・その場合は新規許可を取り直すしかありません
・その間は許可業者としての工事ができなくなる

相続開始日(お亡くなりになった日)が休日・年末年始でも延長はありません。葬儀・相続手続きで忙しい時期と重なるため、早期の事前相談が極めて重要 です。


3. 相続承継が認められるための条件

栃木県の手引によると、相続承継には以下の条件が必要です。

■ ① 亡くなった個人事業主が建設業の許可を受けていたこと
当然の前提条件。

■ ② 相続人が建設業を引き継ぐ意思を明確に示すこと
遺産分割協議書や同意書で確認されます。

■ ③ 相続人自身が全ての許可要件を満たすこと(承継日=死亡日の翌日から)
つまり相続人は
・経営業務の管理責任者(経管)
・営業所技術者等(専任技術者)
のいずれも要件を満たしている必要があります。
必要に応じて、別の親族が経管・技術者を兼ねることも可能です。

■ ④ 建設業の事業“全部”を承継すること
部分承継(例:工事業種の一部のみ)は不可。承継しない業種がある場合は遺族側が先に「廃業届」を提出します。


4. 相続承継の必要書類(栃木県版 2025年度)

PDFで明記されている書類を整理すると以下の通りです。

■ 相続承継申請で提出する主な書類

  • 相続認可申請書(第22号の10)
  • 役員等一覧表(参考資料6)
  • 営業所一覧表(別紙1)
  • 営業所技術者等一覧表(別紙2)
  • 常勤役員等証明書(第7号)
  • 営業所技術者等証明書(第8号)
  • 工事経歴書(第2号)
  • 直近3年の工事施工金額(第3号)
  • 使用人数(第4号)
  • 貸借対照表(第18号)
  • 損益計算書(第19号)
  • 営業の沿革(第20号)
  • 建設業者団体(第20号の2)
  • 主要取引金融機関名(第20号の3)
  • 相続関係を証する書類(戸籍謄本/法定相続情報一覧図)
  • 遺産分割協議の同意書(他の相続人全員)
  • 誓約書(第22号の11)
  • 営業所の写真
    ※相続人が会社代表ではない場合、支配人登記の有無で追加書類が発生する場合あり。

5. 承継後の手続きと注意点(提出期限あり)

相続承継が認可された後にも“2週間以内” “30日以内” の後日提出書類があります。

■ 2週間以内

・常勤役員等の常勤性の確認書類
・営業所技術者等の常勤性の確認書類

■ 30日以内

・営業の沿革
・建設業者団体
・主要取引金融機関名
・事業税納税証明書
期限を過ぎると認可取消しになるため要注意です。


6. よくある相談と実務上のポイント

● Q1. 承継申請中は工事を続けていいの?
はい。申請中は“被相続人の許可があるものとみなされる”。

● Q2. 相続人が経管の経験を満たさない場合は?
→ 別の相続人や親族が要件を満たしていれば代替可。

● Q3. 30日以内に書類が揃わない場合は?
→ 必ず“事前相談”をすること。栃木県建設業担当窓口で事前確認が必須。


7. まとめ|相続が発生したら“すぐに相談”が最重要

建設業の相続承継は、
・30日以内の申請
・相続人の許可要件確認
・後日提出書類の期限
など、非常にタイトなスケジュールで進みます。

栃木県(宇都宮)の事業者は、相続が発生した段階で、早急に栃木県窓口や専門家へ相談することが最善策です。

参考:栃木県建設業許可申請の手引(令和7(2025)年度版)


Kanade行政書士事務所では、宇都宮市を中心に、栃木県全域に対応しています。

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