コラム
1.132026
営業所技術者等(専任技術者)が退職したときの建設業許可の対応手順|宇都宮市の実務解説
専任技術者が退職すると、その業種の建設業許可を維持できなくなる可能性があります。ただし、後任を速やかに確保して変更届を提出すれば許可を継続することができます。退職が判明した段階で取るべき対応手順と、後任が見つからない場合の選択肢を、宇都宮市の建設業者の皆さんに向けて実務的に解説します。
目次
専任技術者の退職が許可に与える影響
専任技術者(建設業法では「営業所技術者等」とも呼ばれます)は、建設業許可の要件のひとつとして許可の維持に不可欠な存在です。営業所ごとに許可業種に対応した専任技術者を常時配置していることが求められており、この要件を欠いた場合は許可の取消し事由に該当します。
専任技術者が退職した場合、事業者はその旨を知った日から2週間以内に変更届(専任技術者の変更届)を提出する義務があります。しかし、後任を同時に届け出られない場合は、その業種の許可が形式的に要件を欠いた状態となります。
行政庁(栃木県の場合は栃木県庁)は変更届の提出を受けて状況を確認しますが、すぐに許可が取り消されるわけではなく、一定の猶予をもって対応を促します。この期間内に後任技術者を確保できるかどうかが、許可継続の鍵となります。
退職が分かった時点でとるべき最初のステップ
専任技術者の退職が決まったら、まず以下の3点を速やかに確認してください。
最初に確認すべきは、その専任技術者が担当している業種と、他の技術者で要件を満たせる人材が社内にいるかどうかです。複数の業種を一人の専任技術者でカバーしている場合は影響範囲が広くなるため、早期の把握が重要です。
次に、退職予定日と実際の退職手続きの完了時期を確認します。専任技術者の「退職」は、単に退職届を出した日ではなく、実際に常勤性を失った時点が基準となります。退職日までの間は引き続き専任技術者として機能しているため、後任確保の猶予期間は退職日からカウントされます。
そして、変更届の提出義務を念頭に置きながら、後任確保のための採用活動または既存社員の資格取得計画を立てます。[営業所技術者等(専任技術者)は複数の会社に在籍できますか?](https://kanadeoffice.com/kensetsufaq6/)でも解説のとおり、専任技術者は常勤性が要件ですので、アルバイトや非常勤での対応はできません。
後任確保の方法と代替資格の検討
後任専任技術者の確保方法は大きく3つあります。
一つ目は社内の既存社員を充てる方法です。必要な資格や実務経験を持つ社員が既にいれば、最もスムーズに対応できます。ただし、[常勤性はどのように証明すればいいですか?](https://kanadeoffice.com/kensetsufaq19/)に記載のとおり、専任技術者として届け出るためには常勤性の証明書類(健康保険証や住民票など)が必要です。
二つ目は採用によって新たな有資格者を迎える方法です。即戦力となる有資格者を採用する場合、採用後に速やかに変更届を提出することで後任を届け出ることができます。ただし、採用から常勤の確認書類が整うまでにはある程度の時間がかかるため、退職が決まった段階で採用活動を始めることが大切です。
三つ目は社内の社員に必要な資格を取得させる方法です。一部の業種では、一定年数の実務経験によって資格なしでも専任技術者として認められる場合があります。ただし、実務経験の証明には発注書・工事請負契約書などの書類が相当量必要であり、認定までに時間を要するため、短期的な対応策としては難しい場合があります。
後任が見つからない場合の選択肢
後任となる専任技術者の確保が難しい場合は、業種の廃止という選択肢があります。専任技術者が不在となる業種については、許可業種から外す(廃業届を提出する)ことで、その他の業種の許可を維持することができます。
業種を廃止しても、廃止した業種の工事を全く請け負えなくなるわけではありません。建設業許可が必要な金額未満(一般的には500万円未満)の工事であれば、許可なしでも施工できます。大型案件の受注が見込まれない業種であれば、一時的に廃止して状況を整えるという判断も現実的な選択肢です。
また、将来的に後任技術者を確保できた段階で、廃止した業種を改めて追加することも可能です。業種の追加手続きについては[業種を追加したいときの手続きはどうすればいいですか?](https://kanadeoffice.com/kensetsufaq32/)を参照してください。追加申請の要件や書類を確認した上で、計画的に再取得を目指すことができます。
変更届の提出手続きと必要書類
専任技術者の退職に伴う変更届の手続きは、「専任技術者証明書(変更)」を中心とした書類セットを提出することで行います。
主な提出書類は以下のとおりです。建設業許可申請書(変更届出書)、専任技術者証明書(現在の情報と変更後の情報を記載)、退職した技術者の退職を証する書類(離職票や退職証明書など)、そして後任技術者を届け出る場合はその技術者の資格証明書・在職証明書類などが必要です。
提出先は、栃木県知事許可の場合は栃木県庁建設政策課です。書類の種類や様式は随時更新されることがあるため、提出前に栃木県庁の最新の要領を確認することをお勧めします。
なお、専任技術者の退職だけでなく、他の変更(代表者の変更など)が同時に生じている場合は、合わせて変更届を提出すると効率的です。
許可継続のために日頃からできる予防策
専任技術者の退職リスクに備えるためには、日頃からの体制整備が有効です。
一人の専任技術者に複数の業種を集中させている場合は、可能な範囲で複数の技術者を育成しておくことがリスク分散になります。社内の若手社員に資格取得を促し、将来の専任技術者候補を育てておくことが、中長期的な安定経営につながります。
また、定期的に専任技術者の状況(在籍確認・資格証の有効期限など)を確認し、変化が生じた場合は速やかに対応できる社内フローを整えておくことも重要です。
建設業許可取得後の年次手続き全般については[建設業許可取得後に必要な決算変更届とは?](https://kanadeoffice.com/kensetsu14/)でも解説しています。許可取得後の各種義務を体系的に把握しておくことで、専任技術者の退職に限らず、あらゆる変化への対応がスムーズになります。
まとめ
専任技術者が退職した場合は、退職を知った日から2週間以内に変更届を提出する義務があります。後任を速やかに確保して届け出れば許可を継続できますが、後任が見つからない場合は当該業種の廃止という選択肢もあります。大切なのは退職が決まった段階ですぐに動き出すことです。
専任技術者の変更手続きや後任確保のご相談は、Kanade行政書士事務所にお気軽にお問い合わせください。宇都宮市を中心に栃木県全域の建設業者の皆さまをサポートしています。
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建設業許可に関するその他の疑問は、[建設業許可FAQ完全ガイド](https://kanadeoffice.com/kensetsu-faq-guide/)でまとめて確認できます。














