コラム

一人親方からのステップアップ|宇都宮で法人化して建設業許可を取得する流れ

「一人親方として長年やってきたけれど、そろそろ法人にして許可を取りたい」「元請から建設業許可を求められるようになった」そんなご相談を宇都宮でも多くいただきます。

この記事では、一人親方から法人化して建設業許可を取得するまでの流れを、栃木県の制度と行政書士の実務経験をもとに、わかりやすく解説します。


1.一人親方から法人化を検討すべきタイミング

一人親方の方が法人化を考えるきっかけには、いくつかの共通点があります。

  • 下請から元請にステップアップしたい

  • 社員を雇ってチーム体制を整えたい

  • 社会保険の加入を求められるようになった

  • 公共工事や大手企業との契約を目指したい

個人事業のままでも一定の範囲では活動できますが、法人化することで「信用力」や「受注範囲」が大きく広がります特に宇都宮では、元請企業や官公庁からの発注で「法人+建設業許可」が条件になるケースが増えています。


2.法人化のメリットと注意点

■ 法人化の主なメリット

  • 社会保険の加入により、従業員の福利厚生を整備できる

  • 銀行や取引先からの信頼性が向上する

  • 有限責任となり、万が一の際のリスクを抑えられる

  • 経費計上の幅が広がり、節税メリットを得やすくなる

  • 建設業許可を取得し、500万円以上の請負工事が可能になる

■ 注意しておきたい点

  • 設立費用(登録免許税・定款認証など)が必要

  • 会計・税務申告が複雑になる

  • 形式だけ法人にしても、許可要件(経営業務管理責任者・営業所技術者等(専任技術者)など)を満たさなければ許可は下りない

法人化の目的を明確にし、許可取得を見据えた準備を同時に進めることがポイントです。


3.宇都宮での法人化+建設業許可取得の流れ

STEP 1.法人設立の準備

まずは「会社を作る」ことから始めます。
主な手続きの流れは次の通りです。

  1. 商号・所在地・事業目的を決定(定款に「建設工事業」等を明記)

  2. 資本金の入金・定款認証

  3. 法務局への登記申請

  4. 登記完了後、登記事項証明書を取得

栃木県の建設業許可では、定款の目的に申請する工事業種が明記されていることが重要です。例えば「とび・土工工事業」で許可を取りたい場合は、「とび・土工工事業」または「建設工事一式」などの文言を入れておきましょう。

➡ 詳しくは関連記事「法人設立について」をご覧ください。


STEP 2.法人設立後の届出・体制整備

登記が完了したら、次の届出・準備を行います。

  • 税務署・県税事務所・市役所への設立届出

  • 社会保険・労働保険への加入

  • 事業用銀行口座の開設

  • 事務所(営業所)の整備

建設業許可を申請する際は、営業所が業務に使用できる独立した空間であることが求められます。宇都宮市でも「居住スペースと区分が不明確」な場合、営業所として認められないケースがあります。


STEP 3.建設業許可申請の準備

法人ができたら、次は許可の要件を満たしているかを確認します。

許可要件(一般建設業の場合)

  • 経営業務の管理責任者がいること(5年以上の経営経験など)

  • 営業所技術者等(専任技術者)を配置できること(資格または10年以上の実務経験)

  • 財産的基礎があること(自己資本500万円以上など)

  • 誠実性・欠格要件なし

  • 社会保険への加入

証明書類の収集・作成は慎重に行いましょう。たとえば営業所技術者等(専任技術者)の実務経験を証明する場合には、「工事契約書・請求書・日報」など複数の書類を組み合わせる必要があります。

➡ 詳しくは関連記事「建設業許可の実務経験証明をわかりやすく|栃木県制度にもとづく書類準備と記載のヒント」をご覧ください。


STEP 4.申請から許可取得までの流れ

  1. 申請書一式を栃木県庁建設業課(宇都宮市の申請窓口)に提出

  2. 書類審査(1か月前後)

  3. 許可通知・建設業許可票の交付

許可が下りた後は、

  • 決算変更届の提出(毎年)

  • 許可更新(5年ごと)
    など、継続的な管理も必要になります。


4.よくあるつまずきと解決のヒント

よくある相談 対応策・アドバイス
事務所が自宅兼用で区分が不明確 ドア等で区分、専用電話を設置、居住スペースを通らない空間を確保
定款に建設業の目的が抜けている 許可申請前に「目的変更登記」を行う
経営経験や営業所技術者等(専任技術者)の証明が不十分 契約書・請求書・確定申告書などを時系列で整理
社会保険未加入 法人設立後すぐに加入手続きを行う

栃木県では、要件の確認や不足資料の補完が行える場合もありますが、初回申請で通るように準備することが最重要です。


5.まとめ ― ステップアップの第一歩を確実に

一人親方からの法人化は、「新しい挑戦」でもあり「これまでの実績を形にする」大切な転機です。法人化と建設業許可を同時に進めることで、事業の信用力と成長基盤を整えることができます。宇都宮・栃木県内での手続きは、書類様式や判断基準に地域差もあるため、早めの相談が安心です。


Kanade行政書士事務所からのサポート

Kanade行政書士事務所では、

  • 一人親方からの法人設立支援

  • 建設業許可申請書類の作成・確認

  • 経営業務管理責任者・営業所技術者等(専任技術者)の要件確認など、宇都宮・栃木県の実務に即したサポートを行っています。

「法人化したいけれど、どこから手をつけたらいいか分からない」そんな方も、まずはお気軽にご相談ください。これまでの実績を、次のステージにつなげるお手伝いをいたします。


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