コラム

再婚相続シリーズ 第1回|前妻に子どもがいる場合の相続手続きとは?宇都宮の行政書士が解説

「再婚と相続」シリーズ|第1回(全5回予定)

栃木県宇都宮市のKanade(かなで)行政書士事務所です。
今回から新シリーズとして、「再婚と相続」について、実際に寄せられるご相談をもとにお届けします。

第1回のテーマは、「前妻に子どもがいる場合の相続」です。

「夫が再婚で、前妻との間に子どもがいるのですが相続ってどうなるんでしょうか…?」
「今の家族の生活が守られるのか心配です。」

このようなご相談は、宇都宮でも非常に多くいただくようになりました。今回は、前妻に子どもがいる場合の相続で注意すべきことを、わかりやすく解説いたします。

前妻に子どもがいると、相続はどうなる?

まず、法律上のポイントを整理しておきましょう。

再婚後、夫が亡くなった場合、その法定相続人は次のようになります
・現在の配偶者(あなた)
・前妻との間の子ども(血のつながりがある子ども)

このときの相続分は、
・配偶者:1/2
・前妻の子ども(1人の場合):1/2
となります。
仮に前妻との間に2人子どもがいれば、配偶者が1/2、2人の子が1/4ずつになります。
つまり、現配偶者がいても、すべての財産を相続できるわけではないということ。また、「前妻の子と直接の交流がない」などの事情があっても、法的な相続権は変わりません

相続人構成 配偶者の相続分 子どもの相続分
前妻の子が1人いる場合 1/2 1/2(前妻の子1人)
前妻の子が2人いる場合 1/2 各1/4(前妻の子2人で1/2を分ける)

宇都宮で実際にあったご相談事例

ケース①|「前妻の子が相続人になるなんて…」

ご相談者:60代女性(再婚20年、夫に前妻の子どもが1人)

「夫が亡くなって、いざ相続の話になったら、前妻の子に半分渡さないといけないと知って驚きました…。ずっと一緒に暮らしてきたのは私なのに…。」

20年間、夫と共に築いた生活。けれどいざ相続が発生したとき相続人は「現在の配偶者」と「前妻の子ども」であることが法律上のルール。このケースでは、夫名義の財産(預金や自宅など)が大半を占めており、妻の生活費や住居の確保が大きな課題となりました。

特に問題となったのが、不動産の名義変更。配偶者が住み続けたいと思っても、「名義を自分に変える」には、相続人全員の同意が必要です。今回は公正証書遺言がなかったため、前妻の子どもと連絡を取り、遺産分割協議を行う必要がありました。

▼ポイント解説
・法律上、実子であれば、婚姻の相手が誰であっても相続人になります
・交流の有無や同居年数にかかわらず、前婚の子にも法的な権利がある
・財産の名義が全て亡くなった方にあると、現配偶者の生活に影響が出やすい


ケース②|「連絡先が分からない相続人がいて困った…」

ご相談者:50代男性(再婚10年目)

「妻が亡くなったのですが、前の夫との子どもが相続人になると知らず、どこにいるのかも分かりません。」

このケースでは、亡くなった方が再婚前に生んだ子どもが行方不明の状態。こうした場合、まずは戸籍をたどって相続人を特定する調査から始める必要があります。相続人が遠方に住んでいたり、海外にいる場合、以下のような手続き上のハードルも発生します。
・現地からの戸籍や住民票などの取り寄せ
・郵送や認証のための追加費用や時間
・相続書類への署名・押印の取り付け
結果として、相続手続きに何か月もかかってしまうこともあります。

▼ポイント解説
・相続人の居場所が分からない場合でも、法律上は「相続人」としての権利が存在する
・戸籍の収集や住所調査は、専門家に依頼することでスムーズに
・書類のやり取りは、公的証明や本人確認が必要なため慎重な対応が求められる


▽事前にできる対策とは?
これらのケースに共通するのは、「亡くなる前に準備がされていなかったこと」によるトラブルです。特に、公正証書遺言を作成しておくことで、配偶者の生活を守る意思を明確にすることが可能になる場合があります。

前妻に子どもがいる場合の相続、3つの重要ポイント

① 相続人の範囲を正確に把握する

・「前妻の子も相続人になる」は原則
・現配偶者とその子ども(配偶者の連れ子で、養子縁組をしていない場合)は相続人にならないケースも

 詳しくは 第5回|子なし相続の重要ポイント にて解説しています。

② 感情的な対立に備えて、事前に準備を

・「知らない人と遺産を分ける」ことへの抵抗感は強い
・トラブルの多くは、遺言書の有無で防げたケース

③ 遺言書の活用で「希望」をかたちに

・公正証書遺言で、配偶者に多めに残すことが可能
・遺留分(前妻の子どもに最低限残さなければならない割合)は考慮が必要

 公正証書遺言のご案内はこちら
Kanade行政書士事務所では、遺言書の作成も丁寧にサポートしております。

Kanade行政書士事務所ができること

・戸籍調査と相続人の確定
・相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成
・遺産分割協議書の文案作成
・公正証書遺言の作成支援(公証役場とのやり取りも対応)
・他士業(司法書士・税理士)との連携でワンストップ対応
「誰が相続人なのかすら分からない」「前妻の子どもとどう関わればいいか不安」そうしたお悩みを、法律と気持ちの両面からサポートするのが行政書士の役割です。


最後に|再婚家庭だからこそ、安心できる相続準備を

再婚家庭の相続では、「法的には正しいけど、感情的に納得できない」という場面が多くあります。配偶者も、前妻の子どもも、それぞれに立場があります。

Kanade(かなで)行政書士事務所では、相続人それぞれの状況に配慮しながら、円滑な手続きと安心できる未来の準備をお手伝いしています。「これって相談していいのかな…」という段階からでも構いません。
どうぞ、お気軽にご相談ください。

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