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コラム
11.132025
相続人調査を怠った結果、後から別の相続人が現れて争いに

相続手続きでは「相続人調査」が最初の大きなステップです。
しかし、実務のご相談では、この調査が不十分だったために、後から別の相続人が見つかり、家族間でトラブルが深刻化したケースが少なくありません。
今回は、よくある事例として、相続人調査の重要性と注意すべきポイントをお伝えします。
目次
1.よくある誤解:「家族構成は自分たちが一番よく知っている」
相続が発生すると、「相続人は私たち兄弟だけです」と確信を持っている方が多くいらっしゃいます。しかし、実際には次のようなケースが少なくありません。
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亡くなった方に、家族が知らない認知した子がいた
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前妻・前夫との間に子どもがいた
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連絡を取っていない兄弟姉妹がいた
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相続人がすでに死亡しており、その子(=代襲相続人)がいた
家族の記憶や推測だけで「相続人は〇人」と判断するのは、非常にリスクが高いのです。
2.相続人調査が不十分だった一般的な事例
ここでは、「相続人調査を怠ると何が起こるか」という一般的な流れをご紹介します。
(1)家族が“相続人は兄弟2人だけ”と判断して遺産を分けたケース
親が亡くなり、兄弟2人で遺産分割を進めたAさん一家。戸籍謄本は「亡くなった方の本籍地の最新のものだけ」を取得し、出生からの連続した戸籍までは収集していませんでした。
その結果……後から、前婚の子どもが相続人として現れたのです。
(2)遺産分割の内容に“第三者から異議”が出る
手続きが進んでいたところへ、「私は相続人である」と名乗る人物から連絡が入ります。家族は驚き、慌てて戸籍を取り直して調べたところ、確かにその人物は“法定相続人”であることが判明。すでに進めていた遺産分割は一旦ストップ。手続きのやり直しが必要になりました。
(3)相続人の間で意見が割れ、話し合いが難航
相続人が増えると、当然ながら考え方も価値観も異なります。「当初の分け方を見直したい」「もっと正確な財産調査をやり直すべき」など、意見の違いが生まれ、話し合いが長期化するケースが多くあります。
3.なぜ相続人調査が重要なのか?
相続手続きは、「誰が法定相続人か」を確定しない限り、一歩も先へ進めません。
相続人が1人でも漏れていると、
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遺産分割が無効となるおそれ
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手続きのやり直し
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相続人の間に不信感が生じる
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財産の引き出しや解約が進まない
など、後々大きな負担やトラブルにつながります。特に戸籍は、結婚・離婚・転籍などによって複数の市町村に点在することが多いため、出生からのすべてを追う作業は欠かせません。
4.相続人調査で注意したいポイント
相続人調査では、次の点に注意が必要です。
(1)“出生から死亡まで”の戸籍をすべてそろえる
最新の戸籍だけでは相続人は確定できません。改製原戸籍・除籍など、過去に遡って確認する必要があります。
(2)認知・養子縁組の記載を必ず確認
戸籍でしか分からない家族関係があります。特に「認知」は見落とされやすい部分です。
(3)相続人が死亡していた場合の“代襲相続”にも注意
代襲相続人を見落とすと、手続き全体のやり直しにつながります。
(4)海外在住・連絡不通の相続人がいるケースも想定する
相続人は必ずしも身近な人物とは限りません。
5.まとめ ― 相続人調査は“最初の安全確認”
今回の一般事例から見えてくることは、相続手続きにおいて、相続人が一人でも漏れると、後のトラブルが避けられないという現実です。
相続人調査は地味に見えますが、遺産分割や財産の名義変更よりも先に行うべき最重要ステップです。
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家族の記憶に頼らない
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必ず戸籍で確認する
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出生からの全戸籍を揃える
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分からない部分は早めに調べる
この基本を押さえておくだけで、相続時の無用なトラブルを大きく減らすことができます。












