- Home
- 建設業許可トラブル解決ガイド
- 決算変更届の未提出が続き更新時に慌てた会社様の体験談
コラム
11.132025
決算変更届の未提出が続き更新時に慌てた会社様の体験談

「毎年の決算変更届って、正直よくわからないし、忙しくて後回しにしていました」「更新の時だけちゃんと出せば大丈夫だと思っていたんですが……」
こういったご相談は、宇都宮でも少なくありません。
この記事では、数年間「決算変更届」を出さずに放置してしまい、更新直前で慌てることになった会社の実例をもとに、栃木県の制度と行政書士としての経験を踏まえて解説します。
目次
1.「決算変更届は後でいい」と思っていたA社の背景
今回ご相談くださったのは、宇都宮市内で建設業を営むA社さん。従業員5名、社長自身も現場に出ており、事務業務は「空いた時間で対応する」状態でした。
-
決算は税理士に任せていた
-
許可の「更新」は意識していた
-
しかし「決算変更届」の重要性は分からない
-
県から特に催促は来ていない
そのため、数年間、一度も決算変更届を提出しないままになっていました。社長も、「更新のときにまとめて出せばよいと思い込んでいました」と話してくださいました。
2.更新直前に発覚した「数年分未提出」の現実
更新期限が迫り、A社さんが申請準備に着手。
私が確認のため「決算変更届は毎年提出されていますか?」とお聞きしたところ、
社長がしばらく考えてから、
「……出していなかった気がします」
と回答。
調べると、許可取得後の全年度分が未提出でした。
そこから、次の作業が一気に必要になります。
-
過年度ごとの決算書の整理
-
各年度の工事経歴書の作成
-
元請・下請、公民別に集計し直す
-
更新申請の書類も同時に準備する
期限が迫っていたため、
① 未提出の決算変更届をすべて提出
② その後、更新申請
という二段階の対応となり、社内はしばらく書類作業で大変な状況になりました。
3.決算変更届を提出しないまま放置するとどうなる?
(1)更新申請で確実に指摘される
未提出があると、更新時の審査で必ず把握され、過年度分の提出が指示されます。
(2)会社の信頼性に影響する
決算変更届は「経営内容を報告する書類」。
提出が長期間ないと、帳簿や経営状況の管理が不十分と判断されかねません。
(3)悪質と判断されると監督処分の可能性も
建設業法で義務付けられているため、放置が続くと指示処分等の可能性があります。
4.宇都宮での「決算変更届」提出の基本フロー(栃木県)
決算変更届は、事業年度終了後4か月以内に提出します。
一般的な手順は次のとおりです。
STEP 1.決算書の確定
税務申告が終わったら、決算書類を準備。
STEP 2.建設業許可用の様式にまとめる
-
工事経歴書
-
直前3年の施工金額
-
財務諸表(貸借対照表など)
業種別・元請下請別・公民別でまとめる必要があるため、ここが最も時間がかかりがちです。
STEP 3.県庁または土木事務所へ提出
提出先や受付時間は事前の確認が安心です。
5.「提出していないかも…」と思ったときの確認方法
(1)まずは提出状況を確認
受付印のある控えが残っているか確認します。
(2)未提出の年度を整理
決算月と許可取得日を照合し、どの年度から止まっているかを明確に。
(3)必要に応じて県の窓口で相談する
未提出分をどう処理するか、更新が近い場合の段取りなどを確認してください。
A社さんも過年度分の整理・提出を経て、無事に更新申請を終えることができました。
6.まとめ ― 毎年の「コツコツ提出」が更新時の安心につながる
決算変更届はつい後回しにされがちですが、提出しないまま年数が過ぎると、
-
更新直前に膨大な作業が発生する
-
行政からの信頼を損なう
-
場合によっては処分の対象になる
など、大きな負担やリスクにつながります。
決算終了 → 決算変更届の提出を社内ルールとして定着させることで、更新時に慌てることを避けられます。建設業許可を維持するためにも、毎年の決算変更届を確実に提出し、書類の控えや記録を丁寧に残しておくことをおすすめします。












