コラム

外国人労働者の拡大で何が変わる? ー建設業許可と人材要件を整理するー

外国人労働者の拡大で何が変わる?
ー建設業許可と人材要件を整理するー

建設業界では近年、外国人労働者の存在が特別なものではなくなりつつあります。技能実習生に限らず、特定技能など新しい在留資格も増え、「外国人材をどう受け入れるか」は、多くの中小建設会社にとって現実的なテーマになっています。

一方で、「外国人を雇うと建設業許可に影響はあるのか」「人材要件として問題にならないのか」といった不安の声も少なくありません。

この記事では、外国人労働者の拡大が建設業許可制度にどのように関係してくるのかを、制度の整理という視点から解説します。


外国人労働者が増えている背景

外国人労働者が建設業界で増えている背景には、次のような要因があります。
・若年層の入職者減少
・高齢化による離職
・工期・人手確保の慢性化
これらは一時的な問題ではなく、構造的な人材不足といえます。国としても、「国内人材だけでは支えきれない」という前提に立ち、外国人労働者の受け入れを制度として整えつつあります。


建設業許可における「人材要件」とは

ここで押さえておきたいのが、建設業許可における人材要件の考え方です。

建設業許可では、
・経営業務の管理責任者
・営業所技術者等(専任技術者)
といった、一定の要件を満たす人材の配置が求められます。これらは単なる「作業員」ではなく、事業体制の中核を担う人材として位置づけられています。


外国人労働者は人材要件を満たせるのか

よくある質問の一つが、「外国人労働者を営業所技術者等(専任技術者)にできるのか」という点です。結論から言えば、国籍そのものが直ちに問題になるわけではありません。
ただし、次の点が重要になります。
・在留資格が業務内容に適合しているか
・常勤性が確保されているか
・実務経験や資格要件を満たしているか
・日本語での業務管理が可能か
これらを総合的に見て判断されます。単に「人手として雇えるか」と「許可要件を支える人材になれるか」は、別の話である点に注意が必要です。


「現場の人材」と「許可を支える人材」は違う

外国人労働者の受け入れを考える際、実務で混同されやすいのがこの点です。
・現場作業に従事する人材
・許可要件を満たす配置技術者
は、制度上の役割が異なります。

外国人労働者が増えることで、現場体制は強化される一方、許可要件そのものが自動的に満たされるわけではありません。そのため、
・誰が許可要件を担うのか
・将来、その役割を引き継げる人材がいるのか
といった視点での整理が重要になります。


外国人材の拡大がもたらす「見えない影響」

外国人労働者の拡大は、単に人手が増えるという話にとどまりません。
・雇用管理の明確化
・労務・社会保険の整合性
・下請構造の透明化
こうした点が、これまで以上に問われるようになります。これらはいずれも、建設業許可の維持・更新・経審などと関係する要素です。


中小建設会社が考えておきたい視点

外国人労働者の受け入れは、「やる・やらない」の二択ではありません。重要なのは、
・自社の人材構成をどう描くか
・許可要件との関係をどう整理するか
・将来の体制変更に対応できるか
を、今のうちに考えておくことです。制度が変わった後に慌てて整えるよりも、選択肢がある段階で検討する方が、事業の自由度は高く保てます。


まとめ|人材の広がりは、許可の考え方も変えていく

・外国人労働者の拡大は、建設業界全体の流れ
・建設業許可では「人材の役割」がより明確に問われる
・現場人材と許可要件人材は分けて考える必要がある
・早めの整理が、将来の選択肢を広げる

外国人労働者の拡大は、建設業許可制度をより厳しくするというより、「事業体制を見える形にする」方向へ進める動きともいえます。人材と許可をどう結びつけるか。それを考えることが、これからの建設業経営の土台になっていくはずです。


Kanade行政書士事務所では、宇都宮市を中心に、栃木県全域に対応しています。

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