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コラム
12.82025
技能実習制度の見直しは建設業に何をもたらすのか ― 外国人材と許可制度のこれから ―

技能実習制度の見直しは建設業に何をもたらすのか
― 外国人材と許可制度のこれから ―
建設業界では長く、人手不足が課題とされてきました。その中で、技能実習制度は、現場を支える外国人材の受け入れ制度として重要な役割を果たしてきました。
一方で近年、この技能実習制度そのものの見直しが進められています。「制度が変わると、建設業にはどんな影響があるのか」「建設業許可との関係はどうなるのか」こうした疑問を持つ事業者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、行政書士の視点から、技能実習制度の見直しが建設業界と建設業許可にどのような影響を与えるのかを整理します。
目次
技能実習制度はなぜ見直されているのか
技能実習制度は本来、「日本の技術・技能を母国へ持ち帰ってもらう」ことを目的とした制度です。しかし実際には、
・慢性的な人手不足を補う労働力として使われている
・実態として“人材確保制度”になっている
・実習生の権利保護や管理体制に課題がある
といった指摘が長年続いてきました。
こうした背景から、制度の目的と実態の乖離を是正するための見直しが進められています。
「人材確保制度」への転換が意味するもの
制度見直しの方向性として注目されているのが、
・実習から「就労」を前提とした制度設計
・中長期的な就労・定着を想定した仕組み
・企業側の受け入れ体制・管理責任の明確化
といった点です。これは単なる制度名称の変更ではなく、外国人材を「一時的な補助」ではなく「事業を支える人材」として位置づける流れとも言えます。
建設業許可との関係で見えてくるポイント
ここで重要になるのが、建設業許可との関係です。建設業許可制度は、
・誰が
・どの立場で
・どのような体制で
工事を行っているのかを明確にする制度です。
外国人材の受け入れが「労働力確保」から「人材活用」へと変わる中で、次のような点が、これまで以上に重視される可能性があります。
・雇用関係・所属の明確化
・技術者要件との関係整理
・社会保険・労務管理体制
・下請構造の透明性
いずれも、建設業許可の審査や維持と密接に関わる要素です。
「使えるか」ではなく「どう組み込むか」へ
これまで外国人技能実習生については、
・現場に入れるか
・作業を任せられるか
といった実務的な視点が中心でした。
しかし今後は、
・どのような立場で雇用するのか
・長期的にどう育成していくのか
・自社の許可要件・体制と整合しているか
といった、事業全体の設計としての視点がより重要になります。
中小建設会社にとっての現実的な考え方
制度の見直しは、「外国人材を積極的に使わなければならない」という話ではありません。
ただし、
・人手不足が続くこと
・国が人材管理の透明性を重視していること
・許可制度が“前提条件”になりつつあること
を考えると、人材と許可を切り離して考えるのが難しくなっているのは確かです。
今後を見据えるなら、
・外国人材を含めた人員構成
・許可要件との関係
・事業の継続性
を一度整理しておくことが、リスク回避につながります。
まとめ|制度の変化は「準備する会社」と「後回しにする会社」を分ける
・技能実習制度は「人材活用」を前提とした方向へ見直しが進んでいる
・外国人材の位置づけが変わることで、建設業許可との関係もより密接になる
・重要なのは、制度が変わってから慌てるのではなく、自社の体制と許可制度の関係を事前に整理しておくこと
技能実習制度の見直しは、建設業界にとって「突然の変化」ではなく、これまでの流れが形になる段階とも言えます。
人材と許可をどう結びつけるか。それが、これからの建設業経営の一つの分かれ道になるのかもしれません。














