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コラム
12.12025
中小建設会社はいま、なぜ許可を取るべきなのか― 行政書士の視点で読む、これからの建設業と国の動き ―

中小建設会社はいま、なぜ許可を取るべきなのか
― 行政書士の視点で読む、これからの建設業と国の動き ―
「うちは500万円未満の工事が中心だから、まだ許可はいらない」「元請けも特に求めてこないし、今のままで困っていない」
中小建設会社の方から、こうした声を聞くことは少なくありません。実際、法律上も一定の条件を満たせば、許可がなくても工事は可能です。それでも最近、建設業を取り巻く制度や国の動きを見ていると、「許可は取れるなら取っておくもの」から、「事業を続けるための前提条件」へと位置づけが変わりつつあるように感じます。
この記事では、行政書士として日々現場の相談に向き合う立場から、中小建設会社がいま建設業許可をどう考えるべきかを整理します。
目次
建設業許可は「必要になったら取る」ものだった
これまで多くの中小建設会社にとって、建設業許可は、
・元請として大きな工事を受けるとき
・公共工事に参加するとき
・金融機関や取引先から求められたとき
に「必要になったら取るもの」でした。
軽微な工事が中心であれば、許可がなくても実務上は回っていたのが実情です。
変わり始めている「国の前提条件」
ところが近年、制度全体を見ると、国は次のような方向性を明確にしています。
・技術者の配置要件の厳格化
・社会保険加入の徹底
・建設キャリアアップシステム(CCUS)の推進
・下請構造の透明化、適正化
これらに共通しているのは、「誰が・どの立場で・どのように工事に関わっているか」を明確にするという考え方です。建設業許可は、まさにこの「前提条件」を満たしているかどうかを示す制度でもあります。
元請・発注者側の意識も変わってきている
最近の相談では、
・元請から「許可業者であること」を前提に話をされる
・下請選定の段階で、許可の有無を確認される
・取引先の内部ルールで、無許可業者が使えなくなった
といったケースも増えてきました。これは法律が突然厳しくなったというより、発注者側がリスク管理を重視するようになった結果といえます。
許可があることで「選択肢」が広がる
建設業許可を取得すると、必ず売上が上がるわけではありません。しかし、次のような選択肢が生まれます。
・元請案件への参加
・継続的な取引先との関係構築
・事業承継や法人化を見据えた体制づくり
・将来的な業種追加や特定建設業への展開
逆に、許可がないままだと、選択肢が最初から制限されてしまうこともあります。
「今は困っていない」と「これからも大丈夫」は違う
多くの中小建設会社は、「今の仕事が続いていれば十分」と考えています。その考え方自体は、決して間違いではありません。ただ、制度や取引環境が変わったときに、
・急に許可が必要になった
・技術者要件が満たせない
・準備期間が足りない
という状態になると、対応が難しくなります。建設業許可は、取るか取らないかを“選べるうち”に考えておく制度だといえます。
行政書士の立場から見た現実的な考え方
行政書士として感じるのは、「必ず取るべき」「今すぐ取らないと危険」といった話ではありません。大切なのは、
・今の事業内容
・今後3〜5年の事業イメージ
・技術者・人員体制
・取引先との関係
を踏まえたうえで、許可が必要になるタイミングを先読みすることです。
まとめ|建設業許可は「戦略のひとつ」
・建設業許可は、単なる手続きではなく業の立ち位置を示す制度
・国の方向性は「見える・分かる・管理できる」建設業へ
・許可があることで、将来の選択肢を残すことができる
中小建設会社にとって、建設業許可は「義務」ではなく、これからも仕事を続けるための戦略のひとつになりつつあります。
「取る・取らない」ではなく「いつ・どの段階で考えるか」。その視点を持つことが、これからの建設業では大切になっていくのではないでしょうか。














