コラム

元請を目指すなら許可はどう考えるべきか ー受注構造から読み解く建設業の戦略ー

元請を目指すなら許可はどう考えるべきか
ー受注構造から読み解く建設業の戦略ー

建設業の現場では、「いつかは元請になりたい」「下請けから一段上の立場へ進みたい」と考える方も少なくありません。その一方で、元請になるために何を整えるべきかが、はっきり見えていないケースも多くあります。

この記事では、元請という立場を受注構造から捉え直し、建設業許可をどう戦略的に考えるべきかを整理します。


元請とは「立場」ではなく「責任」の違い

元請になるということは、単に工事を直接受ける立場になる、という意味ではありません。
元請には、
・工事全体の管理責任
・下請業者の管理責任
・品質・安全・工程に対する説明責任
が伴います。この責任構造こそが、建設業許可制度と深く結びついています。


許可制度は「元請を想定した制度」

建設業許可は、そもそも元請として工事を行うことを前提に設計されています。
・技術者の配置
・経営管理体制
・営業所ごとの管理
いずれも、元請としての管理能力があるかを見るための要件です。そのため、下請中心の事業形態から元請へ進む際、許可は「あれば便利」ではなく、前提条件に近い位置づけになります。


下請構造のままでは見えにくい壁

下請として仕事をしている間は、
・現場作業に集中できる
・管理や調整は元請が担ってくれる
という側面があります。
しかし元請になると、
・技術者の専任配置
・契約・下請管理
・トラブル時の一次対応
といった、目に見えにくい業務が一気に増えます。この壁を越えられるかどうかが、元請へ進めるかどうかの分かれ目になります。


元請を目指すときに許可が果たす役割

元請を目指す過程で、建設業許可は次のような役割を果たします。
・自社の管理体制を整理する指標
・発注者・取引先への信用材料
・事業規模を広げるための土台
許可を取ることで、「元請としてやっていける体制かどうか」を客観的に確認することができます。


「取れるか」より「使えるか」を考える

実務では、「許可が取れるかどうか」だけに意識が向きがちです。しかし元請を目指すなら、
・技術者は継続的に確保できるか
・管理業務を担える人材はいるか
・体制変更に耐えられるか
といった、許可を“使い続けられるか”という視点が重要になります。一時的に要件を満たすだけでは、元請としての安定した受注にはつながりません。


中小建設会社にとっての現実的なステップ

いきなり大規模な元請を目指す必要はありません。
・小規模な元請案件から経験を積む
・許可を取り、体制を少しずつ整える
・下請と元請を併用しながら移行する
こうした段階的な戦略が、現実的で無理のない進み方です。建設業許可は、その道筋を整理するためのツールでもあります。


まとめ|元請を目指すなら、許可は戦略の一部になる

・元請は「責任の立場」である
・許可制度は元請を前提に設計されている
・重要なのは「取れるか」より「使い続けられるか」
・段階的な体制づくりが、元請への近道になる
元請を目指すかどうかは、すべての建設会社にとっての必須選択ではありません。ただ、選択肢として残しておきたいのであれば、建設業許可をどう位置づけるかを、一度整理しておく価値は十分にあります。


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