コラム

監理技術者と営業所技術者等(専任技術者)の違いは何ですか?

監理技術者と営業所技術者等(専任技術者)の違いは何ですか?

建設業のご相談の中で、「監理技術者と専任技術者(=営業所技術者等)は何が違うのですか?」という質問が時々あります。名称が似ているため混同しやすいのですが、役割・配置場所・必要資格・働く場面が全く異なります。この記事では、監理技術者と営業所技術者等(専任技術者)の違いについて、分かりやすく解説します。


Q. 監理技術者と営業所技術者等(専任技術者)の違いは何ですか?

A.「どこに配置される技術者なのか」「どんな工事で必要なのか」が決定的に違います。


① 営業所技術者等(専任技術者)とは?

役割

建設業許可を取得・維持するために、各営業所に必ず1名、常勤で配置しなければならない技術者です。

要件

以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 指定学科の卒業
  • 実務経験(一般3年/特定10年)
  • 1級・2級施工管理技士などの資格

配置場所

  • 営業所(事務所)に常勤
    ※他社との兼務は原則不可

ポイント

  • 許可申請・更新の中心となる技術者
  • 現場専任ではなく、事務所専任
  • 一人が複数の営業所を兼務することは不可
    =許可を支える“営業所に必要な技術者”です。

② 監理技術者とは?

役割

大規模工事において、元請業者として現場に専任で配置する“最上位の技術者”です。

必要資格

  • 1級施工管理技士などの一級資格
  • 監理技術者講習の修了(5年ごと)
  • 現場への専任配置が必須

配置が必要となる場面(最新基準)

令和6年(2024)以降の基準は以下です。

監理技術者が必要となる下請契約金額

  • 建築一式工事:8,000万円以上の下請契約
  • 建築一式工事以外:5,000万円以上の下請契約

※特定建設業の元請が該当金額以上の下請契約を締結する場合

現場専任となる金額(主任技術者/監理技術者)

  • 建築一式工事:9,000万円以上の工事
  • その他工事:4,500万円以上の工事
    (※ここでも監理技術者は現場専任が必要)

ポイント

  • 複数現場の兼務は原則不可
  • 品質管理・安全管理の中心
  • 特定建設業で特に重要な技術者
    =大規模工事を管理する“現場の責任者”です。

③ 役割の違いが一目でわかる比較表

項目 営業所技術者等(専任技術者) 監理技術者
配置場所 営業所(事務所) 工事現場
必要場面 許可申請・更新・変更届 大規模工事(下請契約金額による)
必要資格 指定学科 or 実務経験 or 資格 一級資格+監理技術者講習
常勤性 営業所に常勤 現場に専任
下請金額 不問 建築一式:8,000万円〜、その他:5,000万円〜
工事金額(現場専任) 不問 建築一式:9,000万円〜、その他:4,500万円〜

④ よくある誤解ポイント

❌ 「営業所技術者等=現場の専任技術者」
→ いいえ。現場ではなく 営業所 に配置します。

❌ 「監理技術者がいれば専任技術者は不要」
→ いいえ。許可維持のため、営業所の専任技術者は必須 です。

❌ 「一級施工管理技士なら監理技術者になれる」
→ いいえ。講習修了が必須 です。

❌ 「兼務できる?」
→ 基本的に 営業所技術者等と監理技術者の兼務は不可 です。


まとめ

  • 営業所技術者等(専任技術者)は 許可のために営業所へ常勤配置

  • 監理技術者は 大規模工事の現場専任の最上位技術者

  • 必要な金額基準は

    ・建築一式:8,000万円以上
    ・その他:5,000万円以上

  • 現場専任の下限は
    ・建築一式:9,000万円以上
    ・その他:4,500万円以上

役割・資格・配置の違いを理解することで、許可申請のミスや現場でのトラブルを防ぐことができます。


Kanade行政書士事務所では、宇都宮市を中心に、栃木県全域に対応しています。

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