コラム

建設業許可の「一般」と「特定」の違いは何ですか?

建設業許可の「一般」と「特定」の違いは何ですか?

建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があります。
どちらも建設業を営むうえで必要な許可ですが、請け負う工事の規模や下請への発注額によって区分が変わります。

実はこの区分、
“基本的なことだけれど、意外と押さえられていない”ポイントのひとつ。
誤解も多く、実務で混乱しやすい部分です。


1.工事の請負金額で区分される(正しい基準)

● 一般建設業とは

下請に出す金額が 5,000万円未満(建築一式工事は8,000万円未満) の工事を請け負う場合に必要な許可。

● 特定建設業とは

下請に出す金額が 5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上) となる工事を請け負う場合に必要な許可。

つまり、
大規模工事を発注する可能性がある会社は「特定」が必要になります。


2.求められる要件が大きく違う

特定建設業は下請への発注額が大きくなるため、
発注者保護の観点から、一般建設業より厳しい財務要件・技術者要件が求められます。

● 一般建設業の主な要件

  • 経営業務の管理責任者

  • 専任技術者(資格または10年以上の実務経験)

  • 財務基準:自己資本500万円以上

  • 社会保険加入 など

● 特定建設業の主な要件

  • より厳しい財務基準

  • 欠損状況・資本金の審査が強化

  • 1級資格を持つ管理技術者の配置


3.技術者の要件も異なる

● 一般建設業の専任技術者

  • 該当資格(業種によっては2級で可)

  • または10年以上の実務経験

● 特定建設業の専任技術者(管理技術者)

  • 原則1級資格が必要

  • 実務経験のみでは満たせないケースが多い

  • 現場配置が必要となる場合あり


4.どちらを取るべきかの判断基準

特定建設業が必要になる会社の例:

  • 元請として大規模工事を請け負う

  • 下請に多額の発注を行う

  • 公共工事の受注を継続したい

  • 建築一式工事を中心に事業展開している

一方で、
中小規模で自社施工中心の会社は一般建設業で足りることも多いです。


5.まとめ ― 「一般」と「特定」の違いは正確に理解しておくことが大切

・下請に出す金額の基準 → 最も大きな違い
・特定は財務・技術者要件が圧倒的に厳しい
・事業規模や方向性によって必要な許可が変わる

「一般と特定の違い」は基本の部分ですが、
意外と誤解されがちで、許可選択を誤る原因にもなります。

将来の工事規模・取引先・事業計画を見据え、
正しい許可区分を理解しておきましょう。


Kanade行政書士事務所では、宇都宮市を中心に、栃木県全域に対応しています。

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