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コラム
5.12025
「うちは大丈夫」から始まるすれ違い—家族を守る、相続の第一歩

「うちには大した財産があるわけじゃないし」「今はまだ元気だから」そんな声を、私もこれまで何度となく耳にしてきました。でも実は、そうしたご家庭ほど、“備え”をしておくことで守れるものがあるんです。今回は、あるご家族の相続をめぐる体験を通して、「家族を守る相続のあり方」を、一緒に考えてみませんか。
【小さなひと言が、大きなすれ違いに】
「私が実家をもらうから」
姉のそのひと言がきっかけで、私と姉との間に、ぽっかりと溝ができてしまった——ある方のお話に、胸が痛みました。
相続の話になると、どんなに仲の良かった兄弟姉妹でも、すれ違ってしまうことがあります。それは、金額の大小ではなく、「気持ち」が絡むから。しかも、その気持ちのズレは、日常ではなかなか見えてきません。
【「うちは関係ない」では済まない現実】
家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルのうち、約75%は財産5000万円以下のご家庭です。特に「不動産相続」は感情が入りやすく、解決が長引く原因にもなっています。
相続は、ある日突然訪れます。そして、家族関係が変わってしまうのも、一瞬です。
【大切なのは、“話しておく”こと】
相続でもめないために、いちばん大切なのは「親が元気なうちに、どうしたいかを家族で話しておくこと」。それを「遺言書」というかたちにして残すことで、思いや希望をしっかり伝えることができます。
遺言書と聞くと、なんとなく身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。でも最近では、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度もあり、手軽で安全な方法が広がっています。
【遺言書は、“思いやり”の証】
相続の準備とは、決して財産を分ける話ではなく、「家族がこれからもつながっていくための準備」だと、私は考えています。
何気ない会話の中で、「もめないように、今のうちに考えておこうね」と、話のきっかけを作るところからでいいと思います。その一歩が、きっと未来の安心につながります。
【おわりに】
「何を大切にしたいか」を一緒に考えながら、心の整理と手続きの両方をサポートしています。
迷ったときは、いつでもお気軽にご相談ください。
大切な人への思いやりは、きっといつか、家族を守る力になるのではないでしょうか。