コラム
1.232025
第9回|遺言書が「感謝の手紙」になる?付言事項の使い方を行政書士がお伝えします。

栃木県宇都宮市のKanade(かなで)行政書士事務所です。今回は、「付言事項(ふげんじこう)」という言葉を聞いたことはあるけれど、よく分からない。という方や、はじめて遺言書について考える方に向けてお伝えしたいお話です。
遺言書というと、「誰に、何を遺すか」を法的に書き記すもの、というイメージがあるかもしれません。もちろん、それが基本的な役割です。でも実は、遺言書で「感謝」や「想い」を伝えることもできるのです。それが「付言事項」です。
目次
付言事項ってなに?どんな役割があるの?
付言事項とは、遺言書の最後に添える「メッセージ」のようなもので、法的な効力はありませんが、ご家族や大切な人への想いを伝えることができる部分です。
例えばこんなふうに使われます。
・「長年に渡り、介護をしてくれてありがとう。」
・「これまで元気に育ってくれてありがとう。」
・「兄弟姉妹、仲良く助け合って暮らしてほしい。」
・「事情があって○○には財産を渡せないけれど、どうか私の気持ちを理解してほしい。」
こうした言葉があることで、相続人の気持ちが和らぎ、争いを防ぐことにもつながるのです。
【実例】感謝の言葉が遺された家族の支えになったケース
宇都宮市にお住まいの男性が、公正証書遺言を作成されました。財産の多くを、日常的に介護をしてくれていた長男に相続させる内容でしたので、他のご兄弟と金額的にも差がありました。ご本人はその点を気にされておりましたので、「よろしければ、付言事項として気持ちも一緒に遺しませんか?」とご提案させていただきました。それにより、遺言書の最後に付言事項として、長男への感謝と他の兄弟の幸せを願う想い、兄弟仲良く穏やかに暮らしてくれるよう願う。と記されました。
この付言事項があったお陰で、感情的にならずに穏やかに話し合いが進んだと、後にご家族から伺いました。付言事項に込めた想いが、家族の心をつなぐ“最後の言葉”になったのだと思います。
なぜ、付言事項が「感謝の手紙」になるのか?
相続はどうしても「財産」の問題として捉えられがちです。ですが、家族にとって何より大切なのは、「どうしてこの分け方なのか」という事が、気持ちの上で納得できるかどうかではないでしょうか?遺言書の中に想いが書かれていれば、たとえ自分に多く残されていなかったとしても、「〇〇の気持ちが受け入れることができる。」と思える方も少なくありません。
また、付言事項にはこんな力もあります。
・法定相続では伝えきれない“感情の整理”ができる。
・相続人が自分の役割や背景を理解できる。
・争いを避けるだけでなく、心のわだかまりを軽くする。
つまり、付言事項は、遺言書をただの手続きではなく、気持ちのこもった“感謝の手紙”に変えてくれるのかもしれません。
こんなときに、付言事項を書いてみましょう
介護や支援をしてくれた家族がいる。
財産を一部の人におおくあげる事情がある。
生前に伝えられなかった想いがある。
揉め事のない兄弟姉妹に、これからも変わらず仲良くいてほしい。
ただし、内容や相手によっては傷つけたり、誤解が生じてしまう場合もあります。専門家に相談しながら、適切な表現でまとめるのがおすすめです。
Kanade行政書士事務所では、想いを形にするサポートも大切にしています
当事務所では、単に「法的に有効な遺言書を作る」だけではなく、ご本人の気持ちがきちんと届くような遺言書の形を一緒に考えることを大切にしています。「この人に伝えたいことがある。」「本当はありがとうを言いたかった。」そんなお気持ちも、どうぞ遠慮なくお話しください。
まとめ|遺言は「感謝を伝える手紙」になることもあります
遺言書は、財産の分け方を示すだけでなく、家族への感謝や想いを伝える“ことば”としての役割も果たします。付言事項を添えることで、遺言者の気持ちが伝わる遺言書に仕上がるのではないでしょうか。
ご相談はお気軽にどうぞ(初回無料)
栃木県宇都宮市のKanade(かなで)行政書士事務所では、付言事項の内容や書き方についても、丁寧にサポートしています。「遺言書で、自分の気持ちがきちんと届く気がします。」と安心していただけるよう、初めての方にもわかりやすくお手伝いいたします。
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