コラム

「代襲相続」が発生した場合の手続きの流れと実務注意点ー宇都宮の行政書士

相続のご相談を受けていると、「代襲相続ってどういう場合に起きるのですか?」「手続きが複雑になるって本当ですか?」といった質問をいただくことが多くあります。

代襲相続は「名前は聞いたことがあるけれど実務が分かりにくい」類型のひとつです。特に、戸籍収集や相続人の確定作業で思わぬ時間がかかることがあります。

この記事では、宇都宮市で相続実務を行う行政書士の立場から、代襲相続が発生する場合の基本・手続きの流れ・実務上の注意点を分かりやすく解説します。


1.代襲相続とは?まず押さえるべき基本

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、本来相続人となるべき人が「被相続人より先に死亡していた場合」、その子(孫)が代わりに相続する制度です。

■ 代襲相続が発生する主なケース

  • 子がすでに死亡している → 孫が代襲相続人となる

  • 兄弟姉妹が死亡している → 甥・姪が代襲相続人となる

※父母・祖父母には代襲相続はありません。

■ 「再代襲」も起こり得る

兄弟姉妹の相続では、甥・姪の世代でも死亡している場合、その子(被相続人からみると「又甥・又姪」)まで代襲が続きます。


2.代襲相続が発生した場合の手続きの流れ

代襲相続は、通常の相続よりも戸籍収集の範囲が広がるため、相続人確定の段階が最重要ポイントとなります。以下に実務での典型的な流れをまとめました。


STEP1:被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集

まずは通常の相続と同様、被相続人の「出生から死亡までのすべての戸籍」を収集します。

これにより、

  • 子が何名いたのか

  • どの時点で死亡しているのか

  • 認知や養子縁組の有無が確認できます。


STEP2:死亡している子の戸籍を収集し、代襲の有無を確認

被相続人より先に死亡している子がいた場合、その子の「出生から死亡までの戸籍」を確認し、

  • 配偶者の有無

  • 子(孫)を残しているかを確定します。

ここで初めて「代襲相続が発生するかどうか」が判断できます。


STEP3:代襲相続人(孫・甥姪)の戸籍を収集

代襲相続人が孫の場合は、その孫の最新戸籍(現在戸籍)を取得します。

代襲がさらに続く場合(兄弟姉妹の再代襲)は、

  • 甥姪

  • その子(又甥・又姪)の戸籍まで広がることがあります。


STEP4:相続人の確定・法定相続分の計算

代襲相続では、代襲者は本来の人と同じ相続分を受け継ぐのが特徴です。

例)子Aが死亡 → Aの2人の子(孫)が代襲する場合

  • Aの法定相続分を2名で等分する

宇都宮の金融機関・不動産登記の実務でも、代襲者の人数による相続割合を正確に示す必要があります。


STEP5:遺産分割協議書を作成する

代襲相続人は、本人が未成年であっても相続人となります。

その場合は、

  • 特別代理人選任(家庭裁判所)が必要になるケースがあります。

未成年が代襲相続人となる場合の遺産分割は、特に注意が必要です。


3.代襲相続で特に注意すべき実務ポイント

実務でよく生じるつまずきポイントをまとめました。


■ ① 戸籍の量が非常に増える

代襲相続は、被相続人 → 子 → 孫まで戸籍をさかのぼるため、通常より戸籍の点数が多くなります。

特に

  • 本籍地が転々としている

  • 昭和・平成の改製原戸籍が複数あるという場合は、取得に時間がかかります。

 宇都宮市+県外本籍が混在しているケースは注意


■ ② 代襲者が海外在住・疎遠の場合の連絡調整

代襲相続では、孫・甥姪が相続人となるため、「連絡がつかない相続人」問題が想定されます。

特に、疎遠な兄弟姉妹の子(甥・姪)は連絡が取れにくく、相続手続きが長期化することがあります。


■ ③ 未成年代襲者は「特別代理人選任」が必要になることがある

未成年が代襲相続人となる場合、親と利害が対立する可能性があるため、家庭裁判所で「特別代理人」を選任します。

  • 不動産売却

  • 預金解約

  • 遺産分割そのもの

これらに影響するため、手続きの時間を見込んで早めに動くことが重要です。


■ ④ 相続税の基礎控除・税務の影響も変わることがある

代襲相続により相続人が増えると、相続税の基礎控除も変動します。

基礎控除
= 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続税が発生する可能性がある場合は、税理士との連携も必要です。


4.手続きを進める方へ ― 実務上のアドバイス

栃木県、宇都宮市の相続手続きの現場では、代襲相続があると主に次の作業が必須になります。

  • 代襲者の住所確認・本人確認

  • 印鑑証明書・署名手配

  • 郵送でのやり取りの調整

  • 未成年への特別代理人手続き

金融機関では、「代襲相続の説明資料」「法定相続情報一覧図」の提出を求められる場面が多いため、資料の整合性をそろえることがとても大切です。


5.まとめ ― 代襲相続ほど「整理力」が必要

代襲相続は、相続人の範囲が広がり、戸籍の量も増え、遺産分割協議の難度も上がる手続きです。だからこそ、「相続人の確定」と「戸籍整理」がすべての土台になります。宇都宮での相続手続きの経験からも、代襲相続のケースほど“最初の段階での丁寧な整理”が手続きをスムーズに進める鍵となります。


🕊 Kanade行政書士事務所では

  • 代襲相続の相続人確定

  • 戸籍の一括取得

  • 遺産分割協議書の作成

  • 特別代理人手続きのご案内

  • 宇都宮の金融機関・不動産手続きのサポート

など、状況に応じた実務支援を行っています。「代襲相続かもしれない」「戸籍がうまく揃えられない」そんな場合は、どうぞお気軽にご相談ください。


Kanade行政書士事務所では、宇都宮市を中心に、栃木県全域に対応しています。

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