コラム
5.122025
障がいのある子を守る遺言書|特別な配慮と信託活用の方法

【障がいのある子を守る遺言書|特別な配慮と信託活用の方法】
将来、自分に万一のことがあったとき、障がいのある子の生活はどうなるのか――。
親御さんにとって、もっとも心配なことのひとつではないでしょうか。
障がいのある子どもが受ける公的支援(障害年金や福祉サービス)を活かしながらも、親としてできる「最後のサポート」が遺言書です。
この記事では、障がいのある子の将来を支えるために有効な遺言の書き方や、活用できる制度について、わかりやすく解説します。
【なぜ障がいのある子に遺言書が必要なのか】
障がいのある子には、一般的な相続とは異なる注意点があります。
● 金銭の管理が難しいケースがある(判断能力や成年後見制度の利用)
● 財産の渡し方を誤ると、公的支援(障害年金や福祉サービス)の給付に影響することがある
● 兄弟姉妹との不公平感が生まれやすく、相続トラブルにつながる場合も
これらのリスクを避けるために、親としての想いを形にする遺言書が非常に大切になります。
【どんな工夫ができるの?】
遺言書の工夫によって、以下のような配慮が可能です。
■ 財産管理を任せたい人を指定(例:信頼できる親族・専門職)
■ 受け取る財産を制限・分割して渡す(例:一括でなく、必要時に取得)
■ 生活費に困らないよう、信託制度を活用する
■ 障がいのない兄弟とのバランスをとる など
【活用できる制度:福祉型信託・家族信託】
障がいのある子に財産を直接渡すと、公的支援が打ち切られるリスクがあります。
そこで注目されているのが「福祉型信託」や「家族信託」です。
● 特定の目的(生活費・医療費)に使えるよう信託契約で指定
● 財産管理者を信頼できる人にしておくことで、子の生活を長期的にサポート
※家族信託を行うには、信頼できる親族や専門家の協力が必要です。
【おすすめの遺言書の形式は?】
障がいのある子の将来を考えた場合、以下の点から「公正証書遺言」がおすすめです。
● 法的に確実で、公的効力が強い
● 財産の内容や遺言内容が明確に整理できる
● 遺言執行者を指定しやすい
加えて、遺言書だけで対応しきれない部分については「信託契約書」を別途作成することもあります。
【行政書士にできるサポート】
- 遺言書の文案作成(福祉制度に配慮した内容設計)
- 相続人・財産・支援制度の確認と整理
- 信託の仕組みを使いたい場合のコンサルティング
- 公証役場との連携・証人手配
※信託契約書の作成は司法書士・弁護士との連携が必要になる場合があります。
【まとめ】
障がいのある子にとって、親の遺言は「将来の安心」をつくる大切な手段です。
単に財産を渡すだけでなく、「どう生きてほしいか」「どんな支援を残したいか」を形にできるのが遺言書の力です。
Kanade行政書士事務所では、一人ひとりのご事情に合わせて、やさしく丁寧にサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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