コラム

遺言書が無効になるケースとは?書いたつもりが意味をなさない「よくある落とし穴」

せっかく遺言書を書いても、「形式が整っていなかった」「内容が不明確だった」といった理由で、遺言が無効になるケースは少なくありません。ご本人は“伝えたつもり”でも、残された家族にとってはトラブルの原因になることも。

この記事では、実際にあった無効事例をもとに、どんな点に注意すべきか、どのように備えておけばよいかを解説します。


【どんなときに遺言書は無効になる?】

遺言書が無効と判断される主なパターンは次のとおりです。

■ 自筆証書遺言の形式不備

  • 全文自筆で書かれていない(一部がパソコンなど)
  • 日付がない、または「令和○年○月吉日」など曖昧
  • 押印がない、署名が不完全

■ 内容が不明確・不完全

  • 「財産の一部を長男に」など財産の範囲が不明確
  • 「次男に感謝を込めて」など受取人の記載が不十分
  • 遺言執行者が曖昧、または指定されていない

■ 遺言能力に疑義がある

  • 認知症が進行していた時期に作成された
  • 医師の診断書などで判断能力がなかったと主張される

■ 証人の欠格・手続き違反(公正証書遺言)

  • 証人が相続人やその配偶者だった
  • 公証人が形式通りに手続きを行っていなかった

【実例から見る無効パターン】

● 事例1:財産目録だけがパソコン打ちだった自筆証書遺言 → 2020年の法改正前に作成されたもので、全体が自筆でないとして無効に。

● 事例2:本人が認知症と診断された後に作成された遺言 → 記憶障害があったことが主張され、家庭裁判所で効力が争われる結果に。

● 事例3:自宅で作った自筆証書遺言。日付の記載がない遺言書→正式な遺言書に該当せず無効に。


【無効にならないためにできる備え】

  1. 正しい形式を守る(特に自筆証書遺言の場合)
  2. 財産や相続人を明確に記載する(口座番号や不動産の詳細など)
  3. 疑義が生じやすい場合は、医師の診断書などを残しておく
  4. 公正証書遺言を選択し、専門家のチェックを受ける
  5. 証人を頼むときは、欠格事由に当てはまらない第三者を

【行政書士ができるサポート】

  • 自筆証書遺言の案分チェックと形式要件の確認
  • 財産目録の整備・相続関係の図解支援
  • 証人サポート(必要に応じて)
  • 公証役場とのやり取りを含む、公正証書遺言作成の段取り

※相続に関する登記や相続税に関する内容は司法書士・税理士との連携が必要です。


【まとめ】

遺言書は、「気持ちが伝わればいい」だけではなく、「法的に有効であること」が重要です。 無効になってしまえば、ご本人の思いが届かないばかりか、かえって家族間のトラブルの原因にもなります。

形式の確認や文章の明確化を含め、専門家のサポートを受けて、確実に残す方法を選びましょう。

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